京都に暮らす長男からの電話は決まって
99.9%の確率で
〝生活費足りないのでお願いします〟

が!しかし
今回はまさかの0.01%

〝ばあば誕生日やから神戸帰るわ〟




〝ふじこちゃんも帰っておいでや〟

西脇の家を出てからなぜか
母親の私を
ちゃん付けで彼は呼ぶ

そっか ばあば誕生日やったな
わかった、ママも帰るわ!

息子にちゃん付けで呼ばれても
私は私をママと呼ぶ。



テスト期間真っ只中の次男は
きっと行かないと言うやろうし
それでも仕方ない
そう思って一応伝えてみると
〝俺も行く〟

即答したから少し驚いた




みかさんの所でケーキを買って
神戸に着いたら
長男もケーキを買って来ていて笑った

お小遣い足りないんとちゃうんかぃ  笑




母が今年の誕生日を迎えられるとは
正直思っていなかった
覚悟していた
それでも心のどこかで
もしかしたら?という期待もあった
迎えられたことが奇跡みたいで
ありがたくて嬉しい
なのに
小さなケーキでも
もう食べ切ることは出来なくて
食べたいけど太るからやめておくわと
残念そうに笑っていた若かりし頃の母を
ふと思い出して切なくなった


迎えられただけでいい
姿があるだけでいい
携帯に出てくれるだけでいい
そう思いながらも
まだどこかで
在りし日の綺麗に着飾った自慢の母の姿を求め
去年より出来なくなったこと
半年前より小さくなったこと
数週間前より眠っている時間が増えたこと
弱っていく母に気付いてばかりの私がいる

矛盾している




覚悟しては緩んで
また覚悟して
もう覚悟せぇへん!て思って
胸が痛んで凹んで

そんな繰り返しの私をよそに
次男はいつも通りソファに寝そべり
ばあばと空間をシェアしている
普通に
ただあるがまま普通に





ばあば〜 ケーキ美味しい上のとこだけ食べたなー?

長男が笑いながらそう言って
残りの下の部分を食べた
私はキッチンでお皿を洗いながら
みんなで一緒に笑った
口は笑ってるのに
フフフ と小さく笑った母を見て
なぜか無性に泣けた
幸せやと思った




実家からの帰り道
阪急電車に乗って帰る長男が
車を降りる直前

ママの最大の親孝行は2人を生んだことよ

ふじこが言うと同時に
長男が車のドアを開け
運転席のふじこを振り返って

おぅ

と言った



2人になった後次男は
いつもの後部座席からふじこに向かって

俺のback nanberのDVD勝手に観てええで

と言った  笑



間違いない

私の最大の親孝行は
彼らを生んだことや