こんにちは。深海ゆずはです。
たくさんの温かいコメントありがとうございます!


うおおおおー!!!
大好きだよおおおおっ!!笑い泣き
 

ご指摘いただいて気づきました!
王子は最初「黒川」だったんだ!(なつかしやー!)
 
ひなこちゃんの名字が「星川」でしょ?

「黒川」「星川」」と「川」がつく名字が多いなーと思い、本では変えたのでした。(投稿の段階で気づけって!?)
 

2章はそんなに変わっていないハズ⁉︎
 
 
【2大人なんて大嫌い!】
 
 制服よしっ、髪型……まぁよしっ。
 太陽の光をめいっぱい浴びた髪は、少し茶色が短めのかったくせっ毛。
 不器用でうまく結べないから、子供の頃からショートカットで済ませている。
 ピカピカのブレザーは少し重い。
 でもいつかこの重さがあたりまえに馴染む日が来るのかな。
 全身鏡に映った自分を見るとなんだか不思議な気持ちになる。
 真新しい赤いチェックのスカートとキャメル色のブレザー。
 制服はあたしを少し大人に見せてくれていて、気恥ずかしい。
 忘れ物もなし!
 昨晩中に何度も確認したから、もうバッチリ。
 ふふふ。これで余裕を持って登校できるわっ!
 実はもう日本に戻ることがわかってから、ずーーーっとっ編集部を作ることを考えてたんだ。
 最初は小学校の時の友達と楽しく作れればいいなって思ってたんだけど、ママからは、イキナリ私立中に入学させるなんて爆弾発言されるし!
 理由を聞いたらなんだと思う?
 近所の公立の校長先生に『先生お若いですね、とても40才には見えない』って言われたからだって!
 その言葉を聞いた瞬間「40だなんて失礼だ!」ってその場で激怒しちゃって帰ってきちゃったんだ。(しかも言われた年であっててるのに!)
「そんな理由で学校を変えるなんて大人げない!」って反対したんだけど、「あたしが法律。悔しかったら早く大人になんな。ふははは」だって。
 安全な日本に帰ってきても、うちはやっぱり暴君が法律だから……。
 ああ、早く大人になりたい!
 そんなわけで途中入学でローカル線で3つ先にある(といっても自転車で行けばすぐなんだけど)私立星陵学園に通うことになったんだ。
 ここは王子が通っているから、ちょびっとだけ安心。
 でも、初日の挨拶は絶対に失敗できないよ。
 やっぱり第一印象が大事だからねー。
 先日はママと一番仲良しの編集さんのハルちゃんに「絶対にあたしの編集部に入りたくなるような勧誘のしかたってある?」って聞いてみたんだ。
 ハルちゃんは背が高くてとってもキレイなの。
 長く伸ばした髪をひとつに結わいているのがトレードマーク。
 話し方がたまに(いつも!?)女の人っぽくて、見た目も中性的なんだけど、れっきとした男の人。
 本人曰く「こわーい女性作家さんから身を守るには、性別を超越した方が都合が良い時もあるのよぉ。だから演技☆」っていってるけど、コレが素だとあたしは確信して
いる。
「――絶対に入りたくなるような?」
「うん。こりゃ入らなくっちゃ!って思うようなパンチの効いたやつ」
 ハルちゃんは見た目に似合わぬ大きい手。
 人差し指を口元にあてながら、ハルちゃんが授けてくれた「必勝パターン」を授けてくれたのがコレ。
 
 
さっそうと教室に入る

みんなを見渡し元気に自己紹介

編集部に勧誘

得意技の瓦割り披露(ダメなら回し蹴りも)

挨拶おしまい
 
 
 決めては一人一人の目を最低3秒以上見つめること。
  最後に「あなたの入部をお待ちしています」と高らかに宣言する。
 『あなた』に力を込めて、その時に微笑めば微笑むほど、効果があるのだそうだ。
「……それって脅しじゃない?」ってあたしが呆れて聞いたら、「ぜったいみんなが、入りたくなってパンチが効いてる奴って方法だってでしょ」ってハルちゃんは済ました顔でのたまった。
 はー。そうでした。
 この人も子供相手に本気で来るタイプだったんだ。
 でも確かに本当に欲しいものがあるときは、なりふり構ってられない。
 『幸運の女神様』は前髪しかないんだって。
 想像すると笑えるけど。
 でも大好きな本を読んで、幸運は泥だらけになってももぎとるんだって、強く学んだあたしは、改めて黒い決意と闘志を漲らせた。
 気合を入れて、ハルちゃんの作ってくれたグリーンスムージーも飲む。
 今日はバナナとアボカドと皮ごとのりんごと牛乳が入っているんだって。
「アボガドは食物繊維が豊富で、お肌に良いオレイン酸が入ってるのよぉー」とかウンチクをいいつつ、ハルちゃんが作ってくれたんだ。
 冷えたグラスを手にしたまま、何気なくつけたテレビの画面をみては固まった。
『それでは皆さん、今日も一日お元気で!』
アナウンサーが溌剌と告げたその横には

8時

 とくっきり映しだされてるんですけど!
 ……なんでこんな時間なの!?
 ぶったまげて、しばしフリーズしちゃったわよ!
 テレビ画面の時刻を目に焼き付けてから、ゆっくりとまわりを見渡す。
 リビングの壁掛け時計。
 キッチンの卓上時計。
 うちの時計はぜーんぶ7時。
 やだやだやだっ。ナニコレ!
 ものすごーーく嫌な予感がする。
 手の平がじっとりと汗ばむような、背中からせり上がってくるようなこの不安感。
 あたしは過去に何度も経験したことがある。
 直感に近い悪意を確信した瞬間、
「おはようございまぁーす」
 頭に冷えピタを貼ったママが、満面の笑顔で現れた。
 上機嫌でキッチンに向かったママはトースターから食パンを取り出す。
 そして娘に向けるとは思えない顔で悪人面でニヤリと笑い、差し出した。
「なに!?
 なんなのっ!?」
 恐怖のあまりヒステリックに叫ぶあたしに、ハルちゃんが本当にすまなそうな声で、死刑宣告を告げた。
「ゆのちゃん、ほんとーーーに申し訳ないんだけど、先生が……転校生が遅刻遅刻っ! って叫びながらパンをくわえて走る姿がどーーーしても見たいってーー」
「……いって??」
 やだやだ。もう続きを聞きたくない!
「うちの時計はすべて細工させてもらったよん☆」
「こんのバカ親ぁがあああ!!!」
 信じらんない!
 大人が子供にそんな事する!?
 ハルちゃんも止めてよー!
 しかも叫んだ拍子に口の中にパンを押し込まれる。
「うぐっ」
「美味しいでしょー。今日のために自由が丘のメゾンカイザーで買ってきました(ハルが)」
 そういってママはウィンクする。
「せっかく転校生るんだもん。どうしても生で見たいじゃない? 子育てエッセイのネタにもなるしね、ふはははは」
 高らかに笑うママの声をあたしは生涯忘れない。
 暴君の笑い声を聞きながら、あたしはパンをくわえ、学校へ向かって猛ダッシュするハメになったのだった……。
 
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コソコソたもうちょっとだけ、アップしていきます。
 
そして念のためのお願い!!

無断転載やコピーはNGゴザイマス。
する方はいないと思いますが、念のためのお願いでした。

気になる「あなた」はぜひ目に焼き付けてくださいませ☆