2015年3月読書メモ | あざみの効用

あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

4月は別れと出会いの季節だけど、今年は圧倒的に別れ-。サービス業というものを自分の中で腑に落とす・会得していく過程において忘れられない縁でした。その後、場所は違えど同じ会社にいるというだけで「気」をもらっていたようです。


嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え/ダイヤモンド社
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この手の自己啓発本(それも売れれば売れているほど)については、冷ややかに一瞥してポイがほとんどですが、この本は読んで違和感なかった。個人的には巻末コメントから読むのがオススメ。編集者の志・熱意に強くうたれます。ソフィーの世界に近く、哲学というものを対談方式の中で煙にまかず平易な言葉できちんと届けたいという真摯な姿勢がいい。
ロスト・ケア (光文社文庫)/光文社
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絶叫/光文社
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葉真中顕氏については当該ブログのコメント欄で教えて頂いていたのですが、立て続けに読んで感銘。正しい情報と、問題意識を単に情報の羅列ではなく、エンターテイメントとして消化している点が素晴らしい。一アイデア(例えばロスト・ケアのコムスンネタ、問題提起としての殺人、相撲の八百長ネタ)で十分小説を組み立てられそうなところ惜しむこと無くつぎ込んで1冊に仕上げているので濃密。

慈悲と正直の公共哲学:日本における自生的秩序の形成/慶應義塾大学出版会
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Twitterにも書いたけど、愁眉。江戸しぐさではなく武士道と商人道をたよりに、自生的秩序というものが江戸時代にどのように花開いたかということを丹念に後追いしていく。白隠禅師「施行歌」にみる世俗倫理と来世信仰の狭間としての世代間倫理、海保青陵にみる富国(強兵)のススメなど知的スリリングな要素がたっぷり詰め込まれている。