2017年7月読書メモ | あざみの効用

あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

 

 

 

 

少子高齢化社会において朱鷺と同様に保護(増産)対象に過ぎない「若者(論)」よりは、「老人論」で炎上したほうがマーケティング的には美味しいのではないかと思う今日このごろ―。妄想で語った凶悪化も、モラルも、教育も、健康も、家族問題etcリアルな「問題」として語るネタは山のようにあるはずなのに。「不良債権としての団塊」「あと30年で日本は甦る」「楢山節考再考」とか今のうちに©とっておきたい気分。

 

 冒頭にテーマとして掲げられている「情けは人の為ならず」が皮肉として効いている。まさに同箴言が誤用されているように、犯罪(治安)論は、現実ではなく虚構に基づいて語られることばかり。それでも治安と体感治安は別問題であるという理解、治安悪化が語られること自体がなくなったその事自体が我が事のように嬉しい。そしてそれはただただひとえに同書責任編集の任に当たられている浜井浩一教授の力によるものといって過言ではない。、90年代後半から00年代半ばまでの狂気の言論を今、冷静に振り返り、そしてこれからをさまざまな角度から分析する。

 (ピナル)ポピュリズム犯罪政策を過小も過大評価もすることなく「あすの会」の歩みによって整理した数章および、刑罰の効果(特別予防)を検証した1章がオススメ。死刑判決や、執行に犯罪抑止効果があるのか、重罰化があるのか、失業率があるのか―。あと足りないのは、体感治安と同様に体感刑罰感(実際より重い刑罰と、軽いイメージの誤差)に関する議論。法家思想から直近なら飲酒運転を巡る言説などは一顧に値するかと。

 「人は一人でも反省は出来るが、一人では更生できない。」素敵な言葉だ。

「1968」を「雑誌」をコアに前と後ろに拡張した本。コンパクトだが面白かった。この本で「マルクスみかん水」という言葉を初めて知って一発で気に入った。

角道を開けたままの振り飛車に未だに抵抗感あるわたしは旧世代(当然ゴキ中は指せない)―。