塾生のみなさんには、ミステリを書こうとしている人もいるでしょう。
このテーマで言いますと、冷たいの語源というより、冷たいの犯人が、爪痛いさんだとして、犯人は爪痛いさんではないと展開すべきでしょう。
ということで、仮に100歩譲って、爪痛いが語源としましょう。
爪という文字は平安時代から存在します。なぜなら、目、口、鼻と同じで、言語のなかった時代、コミュニケーションをとる必要性から、体の部位は最初に作られるからです。
もっといえば、英語を覚えたかったら、目や口を英語で覚えることです。
何より病気の時にどこが痛いと言えますからね。
つまり爪痛いというのが、寒さゆえ痛くなる(というのも陳腐ですが)ことから派生したなら、冷たいという文字を当てるのではなく、爪痛いと表記したはずです。
が、冷たいの表記文字は「冷たい」であり、「冷」という文字が当てられています。
この「冷」は「冫」(にすいと読みます)と「令」ですね。
「冫」は「氵」(さんずいと読みます)が、「水」を意味するのに対して、流れるような状態でない、すなわち水にあらずという意味で「氷」を意味する文字です。
そして「令」という文字ですが、これは寄せ集めるという意味です。
「号令」というのは「号」叫び声を「令」寄せ集めるという意味で、ゆえに「冷」は氷を寄せ集めるという意味になります。
もし爪痛いが、感覚が麻痺するという意味で言うなら、爪痛いで意味はわかります。が、表記が爪痛いと書かれた文献はなく、もちろん爪が痛くなるという意味の記述はあっても、そのぐらい凍えるという意味で使う場合、冷たいと記述されています。
よって、爪痛いさんは冷たいの犯人ではないということになります。
では真犯人、すなわち語源はどうか。
実はおしりの意味なんですね。
どうしてか。
私はかなり体温が高く、冬は暖房機代わりです。
そんな私でもおしりは冷たいんです。
おしりの古語、これを「つべ」といいます。
方言でたしか四国のどこかで使っているような気もしますが、それは方言ではなく、当時の首都だった京都の公卿ことばが、地方文化に根付いた結果であり、方言化したにすぎません。
女性ことばではおつべといいます。
つまりおつべのようだ。
おつべみたいな冷たさを比喩したことばが語源です。
つべという文字はありません。
隠語だからです。
隠語が文字表記できないのは、いつの時代も同じで、意味としてつべたいが意味として冷たいと表記されるに至ったわけです。
犯人はおしりだったのです。
少しはおしり遊ばしましたか?