アメンバーではない読者様、2話分飛んでしまい申し訳ありません。
リック編で久遠の闇をキョーコが救ったのに対し、27・28話では蓮がキョーコの心の傷を癒す回でした(桃は桃です)。
~Hidden Enemy29~
※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。
薄暗い寝室で2人が瞳を閉じたまま暫くずっと抱き合っている間に…絨毯に転がったままになっていたコーンの石が…
青色から…少しずつ…少しずつ…神々しい不思議な青緑のような金色へと光輝いていった――…。
そして…何気なく目を開いたキョーコの瞳に、その光輝くコーンの石が映った。
『・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・?なに・・・?』
…そのまま見つめていると、その不思議な光は更に…何色とも言えない神秘的な美しい色へと変化していく――…。
『…つっ…久遠さんっ…!』
「・・・・・・・・・・・・ん・・・?何・・・?キョーコ・・・・」
蓮は光には気付かずに瞳を閉じたままキョーコにそう言った。また…一方のキョーコは興奮状態になっていた。
『・・・・コーンの石がっ・・・!!ままま魔法がっ・・・・!!』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・?!」
蓮は目を開いて…キョーコの視線の先を追って見てみると…確かにまるで魔法にでも掛かっているかのようにコーンの石が光っていた。
2人のいる寝室の部屋は天井が吹き抜けのようにとても高く、壁の上の方は大きな窓ガラスが続いている。
そして…気が付けばその大きな窓からも神々しい不思議な光が差し込んでいた。
「・・・・・・・・・・・・うそだろ・・・この時期に・・・?」
蓮は驚いた様子で部屋の天井近くの窓から差し込んで来る光を見つめながら…そう呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・・オーロラだ・・・・」
『・・・・・・オーロラ・・・?!』
「うん…普段は…もっと真冬にならないと…10月の終わり頃ではまだほとんど見られないよって…昼間に地元の人が言ってた…。」
『なに――…? じゃあ…これは…もしかして…本当に妖精の魔法なの…??』
キョーコはオーロラの光に照らされて不思議な色に光るコーンの石を…そっと拾って手の平に乗せた。
その後…2人は温かい服を来て家の庭に出てみる事にした。
『ちょ…ちょっと…久遠さん…?私…歩けますから…!降ろして下さい…////』
蓮は大切にそっとキョーコをお姫様抱っこして、そのまま外へ出ようとしていた。
「…でもキョーコ…血が出たし…。お願い…心配だから…俺の為にもこのまま抱っこされていて…?」
そう言うと蓮は本当に心配で…心配で堪らないような表情でキョーコを見つめていた。
『・・・・・・・もう・・・。分かりました・・・/////』
もう…と言いながらも、蓮にお姫様のように大切に…大切に扱われて、内心キョーコは嬉しくて堪らない。
私…本当に…愛されている…。まるで宝物のように大切にされて――…。
キョーコは感激で胸が高鳴りながらも…蓮の首にそっと手を回した。
…外に出てみると、夜空一面に神秘的な少し緑がかった黄金色に輝く光のカーテンが広がっていた――…。
更に…その神秘な光のカーテンの隙間からは星々がキラキラと光っている。
『うわわわぁぁぁーーーー!!何て…何て綺麗なの――…!!』
その…あまりにも…あまりにも美しい神秘的な色に輝くオーロラに、キョーコも蓮も魅了されて釘付けになっていた。
「…うん…今まで何回か…オーロラを見た事があるけど…ここまで凄いのは初めて見た…。夜空…全体が光輝いてる――…。」
そして…暫くそのまま美しい夜空を見上げていたキョーコが、蓮に話掛けようとして彼の顔の方を見た瞬間…彼女は瞳を見開いたまま固まった。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
「・・・・・・・・ん・・・?キョーコ・・・?どうしたの・・・?」
蓮の金髪と瞳も…オーロラによって少し緑がかった神々しい魅力的な黄金色に光輝いていて、まるで本物の妖精のように見えたからだった。
『・・・・・・・・・・・妖精・・・・・』
「・・・・・・・・・・・え・・・?」
やはりコーンは実在していて…たまに人間界に来た時に蓮の身体を借りているのではないか…とキョーコはこの時 本気でそう思った。
『…久遠さんは…たまにコーンに…彼に身体を貸しているんですね…?本当は演技しているのではなくて…』
「ん…?身体を貸す…?」
『ふふふ…さすが”神の寵児”だわ…!今は貸していないんですか…?』
”寵児”という聞き慣れない…その言葉の意味が分からず、蓮はキョーコに聞き返した。
「神のチョウジ?…何…?チョウジって…?」
『ふふ…ちゃんと分かっていますよ。妖精界のトップシークレットだから…知らないフリをしないといけないんですよね…』
そう言うとキョーコは神々しく黄金に光輝く蓮の金髪に、そっと触れながら優しく微笑んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・??」
『やっぱりこの場所と…妖精の国は近いのね…。あの…あの光の方に妖精の国があって…もしかしたらリックさんもそこに居るのかも――…。』
そして…そのまま2人で暫くオーロラを眺めていると、さっきまで黄金色に輝いていた光のカーテンが…今度は神秘的な虹色へと変化し光輝いていった――…。
『・・・なにこれ・・・・・!!・・・奇跡・・・?』
キョーコは手に持っていたコーンの石を夜空にかざしてみた。すると…石は青紫を中心とした神々しい虹色へと光輝き…2人の顔を優しく照らした――…。
『…何て…何て美しいの――…!』
そのあまりにも神秘的で美しい光景に…キョーコの瞳から感激の涙が零れ落ちた…。
そして…青紫を中心とした不思議な虹色に輝いているコーンの石に…驚きながらも蓮はゆっくりと口を開いた。
「…この…この石は…リックとお揃いなんだ…。」
『・・・・・・・・・・・・・え・・・?』
「…昔…俺とリックの家族で旅行に行った時に…彼のお祖父さんが…俺達の”友情の証”にって…買ってくれた物なんだ――…。」
『そうだったんですか…?そんな大切な物を私に…。』
『まるでリックさんが…この美しい夜空から…私達の事を祝福してくれているみたいですね…!この”友情の証”である石を通じて――…。』
そう言うとキョーコは涙を流しながらも…優しい瞳で蓮を見つめながらにっこりと微笑んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そのキョーコの優しい笑顔を見た蓮は、お姫様抱っこをしていた彼女をそっと降ろし そして…愛おしい…切ない表情で彼女の瞳を見つめながら話を始めた。
「ねえ・・・キョーコ・・・・・・。」
なっ…なんて顔で私の事見つめるんですか…!オーロラの光も重なって…本当に…神秘的で綺麗な顔――…。
『・・・・・はい・・・・・・・・?』
「・・・結婚しよう」
『・・・・・・・・・・・・・え・・・?』
今…今…貴方は…何て言いました――…?
「何だか…今…急にこの場でキョーコに言いたくなったんだ…。」
「リックが…リックが俺達の事を祝福してくれてるみたいって…さっき君がそう言っていたから…それだったら…今…この場で誓いを――…。」
蓮は正面からキョーコの腰に両手を回して…話を続けた。
「…前に…カインとセツカでデートした時に…公園で小さな女の子を連れた…親子3人組が遊んでたの覚えてる…?」
『はい…。とても…幸せそうにしていて…羨ましかったです…』
「あの時…俺はセツカである君を後ろから抱き締めながら…君との未来を考えていたんだ――…。」
蓮はそっとキョーコの頬を自分の手で優しく撫で始めた。
「将来…キョーコと結婚して…子供が出来て…あんな風に家族で遊べたら…どんなに幸せだろうかって…。」
・・・・・・・・・・・・・・うそ・・・。
「…キョーコによく似た女の子が欲しいって…そう思った…。」
・・・・・・・・・・・・・・本当に・・・?
キョーコの瞳から…また新たに涙の粒が流れ落ちていった――…。
『実は…あの時…私も…貴方と家族になりたいって…そう思っていたんです――…。』
「・・・・・本当・・・?!それって・・・”以心伝心”―――。」
蓮は蕩けそうなくらいに幸せな笑みを浮かべながら…キョーコをぎゅっと…ぎゅっと抱き締めた。
「最高に嬉しいよ…キョーコ…。いつか…いつか俺の子供を産んでくれる――…?」
その蓮の言葉に…キョーコは照れて顔を紅く染めながらも…静かにコクンと頷いた――…。
そして…将来を誓い合った2人は…その後 虹色に光輝く神秘なベールに包まれながら…夢中になってキスを交わした――…。
その間も…リックとお揃いであるコーンの石…”アイオライト”は…まるで本当に2人を祝福するかのように神々しく…美しい光を放ち続けていた――…。
…久遠さん――…。
私にとって…今日起こった数々の出来事は
一生忘れる事の無い…最高の思い出になりました…。
貴方に愛されて…まるで宝物のように大切に扱われて…。
そして”永遠の愛”を…
愛しくて堪らなかった貴方と誓い合って――…。
きっと…この神秘的な夜空の上から
リックさんも喜んでくれている気がするの
不思議と…本気でそう感じた――…。
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久し振りにお罠ワードが出ました。「以心伝心」です☆