箱根アフロディーテのプログラム_2■1971年前後の来日ロックバンド | プログレッシブBBSの思い出_ピンク・フロイドmemorandum

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プログレッシブ・ロックとオールディーズの魅力再発見の日々……
〈ザ随筆〉での執筆記事も再録準備中.

 2012-09-13. 06:24 執筆公開
2021-09-23. 20:00 コメント内のリンクを追加

 

 

 

 

 

9月10日の記事「箱根アフロディーテのパンフレット_1」からの続きです。

1971年8月6日 - 7日に
箱根で開催された野外コンサートイベント、アフロディーテのパンフレット(A4判44ページ)には、ピンク・フロイドの広告が2箇所あります。

 

箱根広告1

 

これは、P.21、ポニーキャニオン、フレッシュパックスリーズの広告。
カーステレオ用のカセットテープです。

最下段には、株式会社ポニーの住所電話番号と "カーステレオにもホームステレオにもPONY pak" の表記がありますが、この頃から登場したラジカセで聞いたひとも多かったのではないでしょうか。
テープ録音が、それまでのオープンリールからカセットに替わりはじめたのが60年代の終わり頃です。オーディオカセット商品は上昇気流に乗っていたのでしょうね。

この広告の上半分は、ピンク・フロイド『幻想の中に
を含む、新発売のラインナップ。
わたしはこの広告で初めて『モア』発売当時の邦題を知りました。
   

発売中のラインナップを見てみると、当時の流行というか、とりあえずロックとジャズ、女性向けにはイージーリスニング系とかが見えてきて興味深いものがあります。歌謡曲からもロックというのがおもしろかったりして。


ヤングゾーンを狙い打ち!●ポニー・フレッシュパック

■ポニー・フレッシュパック8月10日発売 第2弾

PONYエキサイティング・ロック/インターチェンジ
 インターチェンジ/キープ・レフト/サービス・エリア/ランプ・ウェイ
 演奏 猪俣猛とパワー・プラス+渡辺貞夫 12PF 3139 ¥2,400
ビートルズ・ナウ/シー・バレンツ・オーケストラ
 レット・イット・ビー/エリナー・リグビー/ヘイ・ジュード/ミッシェル/他全12曲
 演奏シー・バレンツ・オーケストラ 12PF 3140 ¥2,400
ピンク・フロイド/幻想の中に(オデオン)
 歌と演奏 ピンク・フロイド OYP 1151 ¥2,600
不滅のヤードバーズ/ジェフ・ベック、エリック・クラプトンの競演
 トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス/ジェフのブギー/アイム・ア・マン/他全12曲
 演奏 ヤードバーズ OYP 1152 ¥2,600
さよならをもう一度、ブラウンシュガー/オール・ヒットTOP12
 さよならをもう一度/サインはピース/アナザー・ディ/自由になりたい/他全12曲
 演奏 レインボー・オーケストラ/ザ・ショッキング・ハード他 12PJ 3286 ¥2,400

■ポニー・フレッシュパック好評発売中 第1弾

ゴールデン・ギタリスト バーデン・パウエル/イパネマの娘
 12PP 7026 ¥2,600
熱い涙、また逢う日まで/ヒット歌謡ロック作戦
 12PJ 3281 ¥2,400
トラヴェリオン/オスカー・ピーターソン
 12PP 7027 ¥2,400
フランク・プウルセル・デラックス/イエスタディ、ヘイ・ジュード(オデオン)
 OYP 1082 ¥2,600
愛の叫び/ベスト・オブ・アダモ(オデオン)
 OYP 1022 ¥2,600

■ポニー・フレッシュパック好評発売中

ベスト・オブ・グランドファンク(キャピトル) CYP 1146 ¥2,600
ニューロックのすべて(オデオン) OYP 1097 ¥2,600
JAZZ/オールナイトジャムセッション 12PF 3125 ¥2,400



『ベスト・オブ・グランドファンク』……。このバンドは、71年の7月に来日していますから、これは結構売れたのではないでしょうか。
海外のミュージシャンやバンドの来日がふえるのは、70年代に入ってからのことです。
66年にはビーチ・ボーイズ、ハーマンズ・ハーミッツ、ビートルズ、68年にはウォーカー・ブラザーズ、ホリーズ、モンキーズなどが来日していますが、69年のウッドストックなどの影響もあって、日本のロックの時代は70年から始まっているような気がします。

 1970年の来日
ブラッド、スエット&ティアーズ 2月
B・Bキング 2月

 1971
フリー 4月
シカゴ 6月
グランド・ファンク・レイルロード 7月
ピンク・フロイド 8月
レッド・ツェッペリン 9月 - 10月

 1972
チェイス 4月
プロコル・ハルム 5月
カーペンターズ 6月
ジェスロ・タル 7月
エマーソン・レイク&パーマー 7月
ディープ・パープル 8月
ジェームス・ギャング 9月
キャット・スティーヴンス 9月
エルトン・ジョン 10月
T・レックス 11月
ゲス・フー 11月
スリー・ドッグ・ナイト 12月

 参考資料:

 

  WebMagazine e-days
  70年代ロック・アーティスト来日年表
  http://megalodon.jp/2012-0913-0543-10/e-days.cc/features/tokyo/vol3/chronology/index.html

  70's Graffiti
  ロック・アーティスト来日年表+国内ヒットポップス年表
  http://web.archive.org/web/20150331223810/http://www.miyazaki-catv.ne.jp/~y-394u/graffiti/71Y.htm

 

 

 

では、お話は箱根アフロディーテのパンフレットに戻ります。
この広告ページの下段は、『ピンク・フロイド/幻想の中に』の広告。
記載されている曲目は、こうなっています。

ナイルの歌/嘆きの歌/感動のテーマ/サイラス・マイナー/イビザ・バー/
スペイン風小曲/「モア」の主題曲/パーティの情景/シンバライン/
アップ・ザ・キーバー/「モア」のブルース
8月10日発売 Odeon  OYP1151
 ¥2,600

一部の曲が省かれて曲順も違うような……。 

この種のカセットは、LPとほぼ同じ価格だったような気がしますが、これはLPよりちょっと高いような……。
アルバム『モア』の発売は69年6月でした(英国)。
フロイドのデータベースサイトThe Pink Floyd Archivesによると、日本では、LPの発売が70年2月、「幻想の中に」2000円です。
発売年月と価格は不明ですが、Odeon - TOSHIBAからは、LPと同内容のカセットテープもリリースされています。

 

箱根広告2

もうひとつのP.25、こちらは、Odeon - TOSHIBAの広告。

当時のピンク・フロイド最新アルバム(といってもコンピレーション)『Relics』のアルバムカバーアートが大きく載っています。
ニック・メイスンのペン画です。
パンフレットがA4判ですから、このイラストはおよそ20cm四方、ポスター以外ではめったに載らない大きさでしょう。ニックのこの絵が好きなわたしとしては、とてもうれしいページです。


『Relics』の発売は英国では71年5月。日本での発売が71年7月だったことを考えると、タイムリーですね。
ちなみに『原子心母』の発売は、英国70年10月、日本71年1月でした。


ページの下のほうには、この時期までにリリースされたアルバムの一覧が載っています。


めくるめく法悦の世界

ーヘッドロックの開拓者、ピンク・フロイドー
■ピンク・フロイドの道
アーノルド・レーン/星空のドライヴ/シー・エミリー・プレイ/追想/他全11曲 OP-80261  ¥2,000

■サイケデリックの新鋭/ピンク・フロイド
アストロノミー・ドミネ/ルーシファー・サム/マチルダ・マザー/他全12曲 OP-80281  ¥2,000

■神秘
光を求めて/追想/太陽讃歌/コーポラル・クレッグ/神秘/シーソー/他全7曲 OP-80282  ¥2,000

■「モア」ー同名映画オリジナル・サウンドトラックー
サイラス・マイナー/ナイルの歌/嘆きの歌/アップ・ザ・キーパー/他全13曲 OP-80165 ¥2,000

■ウマグマ/ピンク・フロイド
天の支配/ユージン,斧に気をつけろ/太陽讃歌/神秘/シンファス組曲/他全9曲  OP-8912~3 2枚組 ¥3,000

■原子心母
父の叫び/ミルクたっぷりの乳房/マザー・フォア/もしも…/サマー68/他全10曲  OP-80102 ¥2,000

各30cmステレオ 東芝のオデオンレコード 
東芝音楽工業株式会社



キャッチコピーには「法悦の世界」とか「ヘッドロック」とかで、なんだかものすごく高尚なバンドに思えます、わたしの知らない時代のフロイド……(この当時は、名前ぐらいは聞いたことがあったかもしれませんが、曲もメンバーの人数も知りませんでした)。
邦題が多かった70年代ですが、「天の支配」、『サイケデリックの新鋭』では「アストロノミー・ドミネ」だったというのがなんだかおもしろいです。
ちなみに、このアルバムが邦題『夜明けの口笛吹き』で売られるようになったのは、75年からでした。