心が折れると 言うけど
ほんとに折れてしまったら
もう何も感じない



そこにいる?  私はここよ

*******

秋は嫌いだ

オンニがいなくなったのも
オンマの心が壊れたのも

私の夢が儚く消えたのも

秋・・・

秋は嫌いだ ろくな思い出がない

晴れた日も苦手・・・

オンニがくれた 碧色の髪飾りみたいな
澄んだ空は まぶしすぎるから・・・



*******

あんな出来事があっても
はじめは知らぬふりができると思っていた
何事もなかったように振る舞えると思っていた

しかし人の噂は無責任で
弱ったものに追い打ちをかける
姑息でずる賢いミン教授の保身は素早く
大学病院はミン教授の権威を守った
同僚も当然のようにミン教授の側についた
世の中は強きに撒かれて当然のこと

相手を責める不信頼社会の中で
ウンスは段々と居場所を失っていった

それでもレジデントだけはなんとかやり抜きたいと
ウンスは歯をくいしばって耐え仕事をしようと思った

しかしその道すら あっけなく閉ざされた

研究や論文は他人の手柄になり
手術場にも入れてもらえず
もちろん患者の担当もはずされた

八方ふさがりの孤独のなかで
頑張ろうという気力が
じわりじわりと削がれていく

ごはんが喉を通らなくなる
食べては吐き を繰り返す
眠れない日々が増えていく
頭痛がひどくアスピリンが離せない

心と身体は表裏一体

華奢なからだが消え入るように

ウンスはだんだんと生気を失っていった


少し実家で静養しなさい
と 上から暗に辞職を勧められた

ただひっそり
気配を消して息をしているような毎日ならば
それも悪くないかも知れないと
ウンスは思った


何がいけなかったのか
どこでボタンを掛け違えたのか
なんど考えても 納得のいく答えは見つからない

あの男の思い通りにならなかったことだけが
今のウンスには 救いだった



あの時の雷に感謝している
雨も雷もウンスの味方だ


********


なんども同じ人の夢をみる
無精ひげの精悍な顔立ちの人

ただ 朝になると面影は記憶から薄れ
もどかしさだけが心を惑わす

そこにいる? 私はここよ

なんどもなんども聞いてしまう

返事のない壁に向かい 寂しさを吐き出すように


*******


理不尽な波に自分を見失ってしまったウンスは
ソウルを離れ両親の農場を訪れた




*******


ウンス ファイティン!  と願っています

『今日よりも明日もっと』頑張ります!!