そういえば・・・

もともとこういう

世話好きな人だったなぁ

 

 

温泉から上がったウンスは

チェヨンに髪を

乾かしてもらいながら

クスッと笑った

 

ドライヤーなど

もちろんない時代

 

髪を乾かすと言っても

手ぬぐいでせっせと

拭きあげるくらいしか

できないが

頭皮を揉みながら

水滴を拭ってもらうのは

とても気持ちがいい

 

チェヨンはウンスの

ほんわかとした表情を

覗き込みながら

水滴を拭き取り

くるくる髪を巻いて

上の方で一つにまとめ上げ

次に肩を揉みだした

 

 

え?いいの?

ああ いい気持ち

ありがとう

疲れが体から抜けていくわ

 

 

ぼうっとした声で

ウンスは礼を言う

 

 

それは良かった

このところ

イムジャにまっさーじも

してやらなかったからな

 

 

いいのよ

ヨンもお役目が忙しいの

わかっているわ

それに最近じゃあ

タンやサンがよく

肩たたきをしてくれるのよ

 

 

そうか・・・

それは良かった

 

 

チェヨンは目を細めた

子供らが我先にと

母親の肩を揉んでいる様子が

容易に目に浮かんだのだ

 

 

あの子達

いい子で留守番

しているかしら?

叔母様にご迷惑をかけてなきゃ

いいんだけど・・・

 

 

叔母上は

迷惑をかけられたら

それはそれで嬉しだろう

 

 

そお?

 

 

ああ

 

 

微笑んだチェヨンの

手の動きは止まることなく

肩 首 腕 背中と

ウンスの体を行ったり来たり

 

 

もう十分よ ヨン

ありがとう

次は私がヨンをマッサージ

してあげるわ

 

 

いいや

俺は大丈夫だ

それより飯の支度をする

魚を焼くゆえ

イムジャは部屋でゆっくり

待っていろ

 

 

一緒にするわよ

 

 

いや 俺がやりたいのだ

イムジャのために

時を使う

至福のひと時を

俺から奪うな

 

 

まぁああ

ヨンったら・・・

 

 

ウンスは頬を染めて

夫を見つめた

お互い四十を過ぎ

日々の暮らしの中で

新婚の頃の甘い言葉は

多少 減った気もするが

夫はいつも

欲しい時に欲しい言葉を

くれる

 

 

なんか・・・嬉しい

そう言ってもらえて・・・

 

 

そうか?

 

 

チェヨンはふっと

笑みを浮かべ

ウンスをすぽっと

抱きしめささやいた

 

 

たまには俺の手料理も

いいもんだぞ

野趣あふれているが

 

 

それがいいのよ

男の手料理って感じで・・・

じゃあ お言葉に甘えて

お腹空かせて待ってるわ

 

 

部屋の扉を開け放ち

ウンスはチェヨンが

甲斐甲斐しく働く姿を

ぼんやり眺めていた

 

火を起こし

魚を串に刺して四本焼き

その一方で

鉄鍋で湯を沸かして

残りの魚をさばいて投入

ダシが出たところで

山のキノコやヘジャが

持たせてくれた野菜を加え

テンジャンで味をつける

 

そのうち魚が焼ける

こうばしい匂いが

あたりに漂って

鍋がグツグツ言いだして

 

米が炊けたところで

ウンスはチェヨンに

呼ばれた

 

 

料理って

頭を使うのよね

ヨンの動き

本当に無駄がないわ

さすが 

 

 

ウンスは感心した顔で

チェヨンに言った

縁台では心づくしの

早めの夕餉が

ウンスを出迎えている

 

 

味は保証しないぞ

 

 

うふふ

いい匂いだもの

美味しいに決まってるわ

 

 

そんな

なんてことない

話に笑ったり

ご飯を口に

運んでもらったり

夫婦二人きりの時は

あっという間に

夜を迎えた

 

 

もう一度

湯に浸かるか?

 

 

温泉上がりのチェヨンが

ウンスに声をかけた

 

 

ううん

明日の朝

朝風呂にするわ

 

 

そうか・・・

 

 

ねえ ヨン

ここから見える星

とても綺麗ね

 

 

ウンスが見上げる空を

チェヨンも並んで見上げた

 

 

この時代に来て以来

空に瞬く星を

なんども綺麗だと

思ったけれど

ここの星空は別格

夜空が深い藍色だわ

私 この色大好きよ

 

 

ことんと頭を

チェヨンの肩に乗せ

ウンスは微笑んだ

互いの体温が

互いを温め合う

 

 

そろそろ寝るとするか

 

 

うん

ねぇ ヨン

子供達・・・

もう寝たかしら?

 

 

どうであろうな?

叔母上と楽しく

遊んでおるかもしれん

 

 

そおだといいな

 

 

ウンスは屋敷に残して来た

五人の子供の顔を

一人一人思い浮かべた

 

賑やかな屋敷の夜とは

一味もふた味も

違っている夫婦だけの夜

部屋の中には

チェヨンが敷いた

二組の布団が並んでいる

 

ウンスが先に布団に入る

チェヨンは隣の布団に

潜り込むと

ウンスの手を握って

目を閉じた

 

夫婦二人だけの夜は

本当に本当に久しぶりで

てっきり夫に

激しく求められると

思い込んでいたウンスは

いささか拍子抜けした感で

チェヨンの横顔を見つめた

 

 

如何した?

そんなに見つめられたら

俺の顔に穴が開くぞ

 

 

気配に聡い夫が

目を閉じたまま

ウンスに尋ねる

 

 

これも何かの策略?

 

 

あ?なんの?

 

 

私を焦らすためとか?

 

 

チェヨンはウンスの方に

顔を向け

口の端をあげて笑った

 

 

今宵は何も致さぬ

そう決めておる

安心して眠るがいい

 

 

え?

どおして?

 

 

ここにはイムジャを

休息させるために

やって来たのだぞ

朝まで俺に付き合わせたら

休息どころではなくなる

であろう?

余計に疲れさせて

如何するのだ

 

 

朝まで?って・・・

そんなつもりは・・・

私はないけど・・・

 

 

いいや

今 イムジャに触れたら

歯止めが効かぬことくらい

自分でもよくよく

わかっておる

今宵はそれはしたくない

うまいものを食い

温泉に浸かり

ゆっくりと眠る

そうしてイムジャには

気力も体力も

十分回復して欲しい

と思うておるのだ

 

 

そおなの?

ありがとう ヨン・・・

じゃあ せめて

ヨンと同じお布団で

眠ってもいい?

 

 

あ?なんと?

やせ我慢の俺に

なんと酷なことを・・・

 

 

チェヨンは苦笑した

 

 

うふふ 

やっぱりやせ我慢かぁ

でも私もヨンの温もりを

感じていないと

安眠できないんだもの

 

 

困ったお方だ・・・

 

 

チェヨンはひょいと

布団の縁を持ち上げ

ウンスを招き入れる

 

ウンスはしがみつくように

チェヨンの胸に

頬を寄せると

ゆっくり目を閉じた

 

 

おやすみ ヨン

 

 

ああ おやすみ

イムジャ・・・

 

 

静かな山奥の別邸で

藍色の夜空に

見守られながら

二人の呼吸が

こだましあっていた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

藍色の夜空を見上げ

想いを馳せるのは

過去のこと?それとも

未来のこと?

 

 

くま猫うさぎねずみトラ

 

 

二人きりで過ごす時間

恋慕の頃のようで

いいですね〜ラブラブ

さて子供達はお留守番

頑張っているかな?

 

 

急に寒くなりました

季節の変わり目

安寧にお過ごし下さいませ

 

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楽しいものになりそうです