夫は朝まで

本当に

行儀のいい夫だった

 

 

あぁ〜〜〜

よく寝た〜〜〜〜っ

 

 

朝日がとっくに空に昇り

あたりが

すっかり明るくなってから

自然と目が覚めたのも

久しぶりのことで

ウンスは布団の中で

思い切り伸びをして

隣に眠る夫を見た

 

すでに夫のチェヨンは

目を覚ましており

妻のウンスをじっと

見つめている

 

 

ヨンは?

もしかして

眠れてなかった?

 

 

目の下に若干クマができて

いる気がして

ウンスは心配そうに尋ねる

 

 

まあ ぼちぼち・・・

 

 

チェヨンは苦笑しながら

受け流した

眠りながら無意識に

足を絡めて来たり

胸をくっつけて来たり

無防備にもほどがあるほど

ウンスの肉感を感じ

悶絶しながらも

約束どおり自制して

夜をやり過ごしたのだから

無理もない

 

 

やせ我慢するからよ

でもおかげで

私はものすごく

寝た気がする

 

 

イムジャ

それほど毎晩

負担をかけておったか

 

 

ウンスの言葉に

チェヨンは困り顔で

おずおず言った

ウンスはクスッと笑って

首を振った

 

 

ううん

ヨンに求められるのは

嬉しいの

愛されているって実感が

より強くなるから

でもたまには

こんな朝もいいかなって

 

 

そう言ってから

照れたように笑った

 

 

さてと

朝風呂行こうかな

旦那様

今日は何しましょう?

自由な時間が有り余るのも

困りもんだわ

何をしたらいいのか

思いつかないんだもの

つくづく私は貧乏性なのね

やることに追われている方が

性に合っているわ

でも・・・せっかくだから

今日ものんびりしようかな

 

 

それがいい

ではイムジャが風呂の間

俺は朝釣り

朝餉のおかずを釣り上げると

しよう

 

 

うわっ

それは嬉しい

昨日のお魚 美味しかったもの

今日はお魚を揚げてみない?

それも美味しいと思うのよね

 

 

ウンスはチェヨンの首に

腕を回すと

その唇をチェヨンの唇に

そっと重ねた

 

 

好きよ

チェヨン

 

 

ああ 俺も

 

 

新婚の頃のように

二人だけの時間が

過ぎていく

 

そうして二人は

別邸で迎えた二日目も

釣りをしたり

裏山で山菜採りや

木の実を拾って歩いたり

山葡萄をどっさり収穫したり

部屋で昼寝したり

気が向いたら温泉に入ったり

と のんびり時間を過ごした

 

そして二日目の夜

ウンスは夫に聞いた

 

 

今夜も行儀のいい夫?

 

 

あ?

 

 

やせ我慢も大概にしないと

ヨンが病になりそうよ

 

 

いや だが・・・

それでは・・・

 

 

こんなにあなたのことを

愛している妻が

目の前にいるのに

今夜も知らんぷり?

 

 

具合が悪いのは?

 

 

治ったわ

 

 

疲れているのは?

 

 

大丈夫

 

 

その・・・

本当に 大丈夫か

無理をさせるくらいなら

俺はやせ我慢で構わぬ

 

 

ヨン?

どおしてそんなことを

 

 

俺は青白い顔をして

ぐったりしているイムジャを

見ているのが辛いだの

イムジャに何かあったらと

考えるだけで

気が変になりそうで・・・

ゆえに

俺のやせ我慢くらい

どうということはないぞ

 

 

シャラップ!

 

 

ウンスは懐かしい

天界語を口にしながら

チェヨンの胸に飛び込んだ

 

 

私はいなくなったりしないし

ずっとヨンの隣にいる

だから

そんなに心配しすぎないで!

それに・・・ね

そろそろ ヨンの気を

分けてもらわないと

私が充電できないわ

・・・よ?

 

 

ウンスの言葉が

終わるか終わらないか

と言う間合いで

二人は布団の上に

倒れ込んだ

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ばぁばが泊まった

一晩目の夜は

あっという間に過ぎた

 

日中 子供達はそれなりに

楽しく過ごして疲れていたし

両親が忙しく

不在がちなのはいつものこと

 

夜は客間に布団を敷き詰め

みんなで眠った

寝る前に聞くばぁばの話は

面白いし

ヘジャに隠れて

こっそりおやつを食べたのも

楽しかった

それでも

一番小さな赤ん坊のゴンが

母恋しで

泣き出すのではないか?と

長兄のタンは心配していたが

特に夜泣きもせずに

スニョンとユニョンの間で

ゴンは朝までいい子だった

 

翌日の日中

四人はいつものように

ソダンヘ行き

ゴンはポム親娘が

一緒にいて遊んでくれて

終始ご機嫌

ソダンから飛んで帰って来た

兄姉達を安心させた

 

夕刻

大叔母のチェ最高尚宮は

大妃様から使いが来て 

用事を足すため

少しばかり屋敷を空けた

そこで

兄弟姉妹は先に夕餉を

食べることにし

ヘジャが作った絶品参鶏湯

を ワイワイ言いながら

食していた

そんなとき・・・

 

 

オンマ 

げんきになったかな?

おねつでてないかな?

 

 

参鶏湯の鶏肉を

噛み締めながら

ユニョンがぽつんと言った

参鶏湯はオンマも

大好きな料理の一つで

「疲れに効くのよ」

と 言っていたのを

思い出したのだ

 

 

アッパがついているもん

だいじょうぶよ

 

 

スニョンが答えた

 

 

オンマ

いつ かえるの?

 

 

かぶりついていた鶏肉から

手を離してサンが聞いた

聞いてはいけないことだと

なんとなくわかっていたが

誰かに聞かずには

いられなかったのだ

 

 

もうすぐだよ

きっと!

 

 

タンはしんみりした空気を

振り切るように

つとめて明るく答えた

 

 

そうよね?

もうすぐよね?

にぃに?

 

 

ユニョンが

確認するように言った

 

 

ごん まぁまぁ〜

あぁああ〜〜〜ん

 

 

母親の話題が出たからか?

それまでずっと

いい子で過ごしていた

三男坊のゴンが

急に泣き出した

 

 

ゴン 泣かないで

ケンチャナヨ

さみしくないよ

みんないるよ

 

 

タンがオロオロ

ゴンを慰めるていると

 

 

サンもオンマにあいたい

にぃに 

サンもあいたい!

 

 

サンが駄々をこね出した

 

 

サン

にぃにをこまらせちゃ

ダメでしょう!

 

 

ユニョンは自分の発言が

事の発端だと

長兄に申し訳なく思いながら

サンに小言

 

 

じゃあ ユニョンは

オンマにあいたくないの?

オンマがいなくても

へいきってわけ?

 

 

ユニョンに

叱られた格好になったサンが

涙目で反論を始め

その横では相変わらずゴンが

大泣きしている

つられて涙もろいスニョンが

シクシク 泣き始めた

 

 

おやおや

困りましたねぇ

みなさま チェ尚宮様が

もうすぐ戻りますから

ご安心くださいね

 

 

ヘジャが声をかけても

一度溢れ出した気持ちは

もうどうしようもなかった

 

 

ばぁばは

オンマじゃないもん

オンマにあいたいよ〜〜〜

 

 

火に油が注がれたみたいに

サンは大泣き

両親不在の心細さを

なんとか堪えていたのだが

とうとう我慢できなく

なったのだ

 

 

スニョンもあいたい

 

 

ユニョンも

オンマにあいたいよ〜〜

 

 

弟妹が泣き出す中

長兄のタンだけは

なんとか気持ちを

持ちこたえて

みんなをなだめにかかる

 

 

泣かないで

みんな いい子だから

ね?

泣いたらオンマが悲しい

でしょう?

ねえ 泣かないで

ほら サムゲタンうまいよ

食べようよ

 

 

「本当はにぃにも

心細いのだ」と

タンの心のうちがわかる

ユニョンが涙を拭いて

匙を持って

黙々とご飯を食べ始め

スニョンもそれに習った

サンとゴンはまだ

グズグズ言っていたが

にぃにに抱きついて

なんとか

気持ちを落ち着かせた

 

 

うまいね これ

にぃに

 

 

うん うまいよね

サン

 

 

兄弟姉妹は黙々と

夕餉を平らげる

 

 

 

それから子供達は

ヘジャやオクリョンと

布団の準備をした

今宵も客間で

みんなで並んで眠るのだ

 

 

そうだ!

泣き虫のサンとゴンに

いいこと思いついた

 

 

タンは閨に急いだ

オンマの布団があれば

さみしくないと思ったのだ

 

二日ぶりに足を踏み入れた

両親の閨

棚の前を通ると

母親が使っている化粧品の

いい香りが漂って来た

 

 

オンマぁ

 

 

タンは目をゴシゴシ拭いた

不意打ちの母親の香りが

恋しさを募らせる

 

口元に力を入れて

顔を引き締めた

そうしていないと

泣き虫の弟達みたいに

涙が溢れてしまいそうなのだ

 

タンは顔を上げ

大急ぎで廊下を走った

 

母の甘い花の香り

父の太陽のような香り

 

両親の匂いが

混ざっている布団を抱えて

客間に急ぐ

 

会いたい

ぎゅっと抱きしめて欲しい

 

 

タンの心は揺れていた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

香りに懐かしさが

こみ上げる

そんな瞬間がとても愛しい

 

 

くま猫うさぎねずみトラ

 

 

三連休ですね〜

みなさま

安寧にお過ごし下さいませ

 

またおつきあいくださいね

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