新年の朝を迎え

ウンスは布団の中で

ぐぅうんと伸びをした

 

 

いつのまにか

眠ってしまったのね

起こしてくれて

よかったのに・・・

 

 

まだ寝息を立てている

愛する人の顔を見つめると

つい頬が緩む

昨夜は大晦日のあれこれで

疲れた妻を気遣って

自分の欲を満たすことを

我慢したのだろう

 

 

かまってちゃんとか

ガキンチョって言って

ミアネ

訂正するわ

大好きよ ヨン

 

 

ウンスはチェヨンの頬に

唇を寄せた

 

 

さてと

支度しようかな

昨日の風灯(ランタン)

素敵だったなぁ

やっぱり王宮まで

見に行ったらよかったかしら

 

 

屋敷の庭からも

風灯や花火は見えるのだが

近くで見るのは迫力が違う

だが 昨夜は

三つ子の誕生日パーティを

屋敷でささやかに

家族みんなで祝ってやろう

と決めていたから

そのあと出かけるのは

子供らが疲れると思って

やめたのだ

 

昨日

診療所は休診日だったが

イサはチェヨンが

屋敷に帰ってくるまでは

待機してくれていた

その後は養父と王宮で

年越しをすると言って

ヘジャからどっさり料理を

受け取ると帰ってしまった

 

ポムたちやテマンたち

ウネたちも

皆 親子で王宮へ

花火見物に出かけていた

 

でもウンスは動かなかった

大晦日は人ごみを避け

ゆっくり過ごそうと

思ったのだ

それに王宮で夜を過ごす

となれば

賜った邸宅(今はチェヨンの

職場として使われている)

を使うことになる

それはそれで準備が大変に

思えたのだ

 

だから誕生日パーティ

身内だけでのんびりと・・・

もちろん

子供達の大叔母に当たる

チェ最高尚宮も

駆けつけてくれて

子供達にお祝いをくれた

 

さすがに年に何回もある

子供らの祝いごとで

孫がタン一人の時のように

超豪勢な品を持参することは

なくなっていたが

ソンムルに選んだ

小さな昇り竜のお守り三つは

純金製で

ピカピカに輝いていて

子供達ははしゃいでいた

 

夜は家族で和やかに

ヘジャ自慢の料理を食し

笑ったりおしゃべりをしたり

ゆっくりと過ごした大晦日

ウンスもぶどう酒を

あけたりして

少しばかり酔いも回って

いつも以上に饒舌だったかも

しれない

 

チェ最高尚宮は

王妃様付きの武閣氏の長を

離れているが

やはり王宮行事や王妃様が

気になると言って

夕餉の後

屋敷に泊まることもなく

早々に王宮へ向かって行った

 

こういう律儀なところが

やはり

最高尚宮たる所以であろう

 

 

そうして

静かに大晦日の夜が過ぎ

 

新しい

朝になった

 

今日はチェヨンもウンスも

新年早々 仕事の一日

 

チェヨンは王宮で

普段通りお役目があり

ウンスは診療所を開け診察

ぼんやりしている暇はない

 

けれども 明日は

二人揃って休みを取って

家族で温泉付きの

別邸に行くことになっていた

 

実は三つ子たちに誕生日に

何か欲しいものはあるか?

と尋ねたら

三人揃って「アッパやオンマと

一日ずっと一緒に過ごしたい」

と答えたのだ

 

両親はもちろん日頃から

子供達に

たくさんの愛情を注いでいるが

如何せん忙しくすれ違いも多い

だから三つ子たちの

願いを叶えてやろうと

たっぷり

別邸で過ごすことにしたのだ

そして

それが三つ子たちへの

誕生日ソンムルというわけだ

 

 

ウンスが寝台から

立ち上がろうとすると

不意に手首を掴まれ

寝台に引き戻された

 

 

イムジャ

やり逃げか?

 

 

やり逃げって・・・

変な言い方しないでよ

ちょっと

ほっぺたにポッポした

だけじゃない

朝のご挨拶よ

 

 

今朝の俺が

それでは足りぬこと

イムジャもわかっておろう?

 

 

え?でも

そろそろ子供達も

起きてくるわよ?

それにヨン

出仕の時刻が・・・

 

 

構わぬ

 

 

強い口調できっぱり

夫が言う時は

もはや逃げようがないことを

ウンスは知っている

 

 

お手柔らかに・・・

 

 

どうであろうな?

何せ足掛け二年分ゆえ

手抜きは出来かねる

 

 

ひ〜〜〜っ

 

 

俺はかまってちゃんで

ガキンチョなのであろう?

すまなかったな

手がかかる夫で・・・

 

 

開き直りとも

聞こえるチェヨンの言い草

 

 

ええ?

もしかして

さっきの独り言

聞いていたの?

いやいや

そんなつもりは・・・

 

 

なれど

イムジャ以外は

俺の世話はできぬ

ゆえに観念して

今年もよろしく頼む

と言うわけだ

 

 

ニッと笑ったチェヨンの

いたずらっ子みたいな顔

 

 

やっ

こら

ちょっと!

どこ触って・・・

もう ヨン!

 

 

やっぱり夫は

かまってちゃんで

人一倍手のかかる

愛すべき

ガキンチョの夫

だった・・・

 

 

ーーーーーーーー

 

 

陥落した妻を

嬉しそうに眺めながら

夫は出仕した

出かける後姿が

なんだかホイホイと

飛び跳ねているようにさえ

見えたものだ

そして 後に残った妻は

気だるい腰をさすりながら

なんとか

寝台から立ち上がり

支度にかかる

 

 

ウリオンマァ

今 起きたの?

お寝坊スケねぇ

 

 

長男のタンが

ケラケラ笑って

母を起こしに来た

 

 

うん・・・

診療所の準備

しなくちゃね・・・

アッパはもう出かけた?

 

 

うん

なんだかウキウキして

出かけたけど

アッパも

別邸に行くのが楽しみ

なのかなぁ?

 

 

そっそおね

そうかもね

 

 

スッキリできたから

ウキウキ出かけたと

夫婦の閨話を

息子に言えるはずもなく

ウンスは顔を赤らめ

ごまかした

 

 

あ そうそう

あのね

お客さんが来てるよ

 

 

お客さん?

 

 

うん 

ご近所のアジュモニ達

昨日のお誕生日に

渡しそびれたソンムルを

届けに来たって〜

 

 

アジュモニ達?

 

 

うん 三人

サン達が玄関で

お出迎えしているよ

 

 

そお・・・

私も支度をして

顔を出すわ

タン みんなが

帰ってしまわないように

引き止めといてくれる?

 

 

おっけ〜

 

 

頬の真横で指で丸を作り

タンはにこやかに笑った

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

いつも通り

普段通り

そんな言葉が沁みる新春

 

 

 

 

 

 

 

2024年元日です

 

この度の地震で

被害に遭われている皆様

心より

お見舞い申し上げます

一日でも早く

日常が取り戻せますように

 

 

またおつきあいくださいませ

 

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