サンは愛犬の鳴き声で

飛び起きた

いつもはぐずぐずの

寝坊助だが今朝は違う

楽しみにしていた別邸に

お出かけの朝なのだ

 

昨夜はワクワクすぎて

なんども目が覚め

隣に寝ているにぃにを

なんども起こした

だからいつもは

一番に起きるにぃにが

今朝はサンよりお寝坊だ

 

 

にぃに おきて〜

フンとジョンが

ないているよ

えさ やらなくちゃ

 

 

うっう〜〜〜ん

そお〜〜〜だねぇ

 

 

それにお出かけだよ

ねえ にぃにってばぁ

 

 

サンの一言で

長男のタンも飛び起きた

今日はお出かけだ!

 

父親は位が上がるたびに

忙しくなり

家族でどこかへ

出かけることも

めっきり

減ってしまっている

だが

王宮で責任のある地位に

付いているのだから

仕方がないと割り切れるほど

子供達は大人ではない

 

最近では

父親とは朝餉も夕餉も別々

と言う日も珍しくはない

だから子供たちはみんな

両親とたくさん過ごせる

今日のこの日を

楽しみに待っていた

 

タンとサンが着替えを終え

愛犬に餌をやっていると

閨の窓から

母親ウンスが顔をのぞかせた

 

ツヤツヤな髪の毛を

後ろで一つに結い上げて

お出かけだからか

いつもより

鮮やかな色の紅を引き

チョゴリにふわふわの白い毛が

縫い付けられた新しい衣を

着ている母の姿は輝いて

いつも以上に美しい

サンは見とれて

ぼそりと言った

 

 

サン やっぱり

オンマとけっこんする!

オンマ

すご〜くかわいいもん

 

 

そおだね〜

にぃにもサンくらいまで

そう思っていたなぁ

ぜ〜ったいアッパには

あげないって

でもさあ

アッパから

オンマを取り上げたら

きっとアッパ 

もぬけのからになっちゃうよ

だからオンマはやっぱり

アッパにゆずらなくちゃね

 

 

むぬけのからからって

なにさ?

 

 

サンは唇を尖らせて聞いた

アッパに譲ることが

どうにも納得いかないらしい

タンはプッと吹き出して

弟に答えた

 

 

サン

それ もぬけの殻 だよ

アッパはオンマがいないと

生きていられないってこと

 

 

それなら サンだって

オンマがいないと

しんじゃうもん

アッパだけじゃないよ

オンマ

ひとりじめはずるい!

 

 

そおだね〜

ずるいね〜

悋気だよね〜

 

 

タンは悋気という言葉に

いささか懐かしさを

覚えながら

弟に微笑んで見せた

 

八歳になった長男は

物の道理がわかる年頃に

成長している

 

弟のサンやゴンは

まだまだ幼くて

オンマをひとりじめしたい

独占できると信じているが

タンはもはや

オンマをひとりじめ

できないことを知っている

 

オンマはみんなの

ウリオンマで

アッパの大切な奥さんで

どんなに頑張っても

オンマをお嫁さんには

できないってこと

 

もっと幼い頃に

夢見ていた夢は

叶わない夢だと

わかってしまった

 

だけど

ウリオンマがタンにとって

とても大切な人で

大好きな母であることに

変わりはないし

その気持ちがアッパに

負けないと自負もある

 

 

タン どおしたの?

 

 

ちょっと

寂しそうに見えた

息子の横顔に

ウンスは尋ねる

 

思考回路が

より一層成長した息子は

時々はっとするくらい

大人びた表情を見せる

それは頼もしく

もちろん嬉しいことなのだが

自分の手から小さな男の子が

どんどん

離れていく気がして

妙に寂しいのも事実

母親の思いは微妙なのだ

 

 

ケンチャナヨ〜

あのねぇ

ぼく オンマのこと

ノムノムチョアヨ〜

(大大大好きだよ)

 

 

うふふ

ありがとう!

 

 

あどけない幼な子のように

可愛い顔して笑う息子に

ウンスはどこかホッとし

そして言った

 

 

さあて そろそろ

出発しましょうか

寒くない格好をしてね

スニョンとユニョンの

支度はできたかしら?

ヨン 見て来てくれる?

 

 

ああ 任せろ

 

 

三男坊のゴンの

着替えを終え

抱っこしながら

夫は閨から出て行く

 

その背中は広くたくましく

そして優しく

鍛え上げた筋肉質な

美しい後ろ姿は

いつ見ても

惚れ惚れしてしまう

 

結婚してもう何年も経つ

というのに

気持ちは出会った頃と

ちっとも変わらず

彼のことが愛しくて仕方ない

 

 

ほんとヨンは

イケメンでイクメン

なのよね〜

現代でもなかなかいない

稀有な存在なのに

その彼がこの時代で

私の夫だなんて

いいのかしら?

 

 

あ?

なんか言ったか?

 

 

振り返るチェヨンに

 

 

なんでもないわよ〜

 

 

と 笑ってごまかし

ウンスは外套を手にした

 

 

夫のチェヨンは

目を細めて

そんな妻の微笑みを

見つめ返した

 

つい先ほどまで

繋がっていた体の先端が

まだ熱を持っていて

うっかり何かの弾みで

また

燃え盛りそうな気さえする

 

さすがに子供達の手前

分別は

持ち合わせているはずだが

 

どれだけ彼女のことが好きで

どれだけ彼女を愛しく

どれだけ大事に思っているか

 

多分 

ウンスが思っている以上に

ウンスが好きで

愛しくて仕方ないと

チェヨンは

毎朝毎晩自覚している

 

唯一の女人

ユ・ウンスという女人と

出会えたことに

天の差配に

チェヨンは感謝せずには

いられなかった

 

 

その格好

似合っておるな

 

 

ん?そお?

ありがとう

改めてヨンに言われると

ちょっと照れるわね

 

 

オンマ かわいいよ

ね にぃに

 

 

閨に戻ってきたサンも

嬉しそうに言った

 

 

うふふ

幾つになっても

褒められるのは幸せだわ

 

 

照れ臭そうに

嬉しそうに

ウンスは自分の髪を

撫で付けた

 

 

そうして

準備を整えた一家は

手伝いのヘジャ夫婦とともに

屋敷を出発した

 

輿の中にはウンスとゴンと

スニョンとユニョン

チェヨンは愛馬

チュホンにまたがり

膝にサンを抱えている

きりりとした顔で

相棒のリョンにまたがって

いるのは長男のタンだ

 

そして朝焼けの中

歩みを進め 

都の外れで一行は 

朝餉を食すため

カン・ユハ夫婦の宿

「永遠」に立ち寄った

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

変わらないことと

変わってしまうこと

歳を重ねることも

どれも素直に受け入れよう

 

 

おせち絵馬鏡餅お年玉門松おせち

 

 

今日七日は

七草粥の日ですね

なのに

毎年欠かしたことはなかった

のに 今朝は

うっかりおかゆが頭から

抜け落ちてました

七草の準備は

してあったんだけどなぁ〜

ニュースを見て「はっ」

とするという叫び 

明日 仕切り直しても

大丈夫かしら??あせるあせる

 

 

被災地ではまだまだ

混乱が続いており

心労も疲労も絶えないことと

存じますが

どうぞ少しでも

安寧にお過ごしくださいませ

 

またおつきあいくださいませ

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村