結局 お昼に

なっちゃったわね

 

 

都外れの宿屋「永遠」で

朝餉を食し

子供達は雪で遊んだり

ウンスはジヒョンと

話し込んだりで

なんだかんだと

出発が遅くなり

別邸に着いた頃には

すでに昼餉の時刻

 

この時代 

たいていの家庭では

一日二食で済ませるのが

習慣なのだが

天界式のチェ家では

昼にも軽食を出している

それは忙しいウンスの

体力補強のためでもあり

成長真っ盛りの子供達を

考えてのことでもあった

 

 

お昼は釣った魚でも・・・

と思っていたけど

さすがに間に合わないわね

 

 

子供達は到着早々

父親と意気揚々

この寒さの中

川釣りに出かける

支度をしている

 

 

奥様

ヘジャにお任せを!

こんなこともあろうかと

饅頭の準備をしております

奥様はお子様達と

ゆっくり

なさってくださいまし

すぐに蒸し上げますので

 

 

まあ!

さすがヘジャ

でも手伝わなくていいの?

 

 

もちろん お任せを!

ここにはお子様達と

お過ごしになるために

いらしたのですから

食事のことなど雑用は

すべてお任せくださいませ

 

 

なんだか

ヘジャのその「お任せ!」

って声を聞くと安心するの

心強いわ

 

 

ウンスが赤ん坊を

身ごもってから

屋敷に仕えるようになり

ずっと

甘えてばかりのヘジャ

ここ数年は以前のように

体が動かない

仕事ができないと

ヘジャ本人は気に病んで

いるようだが

まだまだ仕事に抜かりがない

ウンスがこの世界で暮らす上で

いちばん頼りにしている女人だ

 

 

イムジャも川辺へ行くのか?

寒いぞ

部屋でゴンと

暖まっていてはどうだ?

 

 

心配性の夫は妻を気遣うが

チビすけのゴンは

兄姉達と外で遊ぶ気

満々だった

 

 

ありがとう

でも まあ

ゴンのお目付役を兼ねて

一緒に行くわ

 

 

そうか

ならばうんと暖かくして

 

 

夫は自分の首に

巻いていた襟巻きを

妻の首に結んだ

 

 

うふふ

ヨンの匂いがする

 

 

ウンスはその襟巻きに

顔を埋めて笑った

 

 

子供達は寒くないかしら?

 

 

ああ しっかり検分したが

皆 ちゃんと着込んでおる

 

 

そお

さすがアッパの鏡

痒い所に手が届くわね

 

 

実際 夫チェヨンは

これ以上ないくらいの

愛妻家であり子煩悩

戦場で生きて来た

高麗武士とは

考えられないくらいに

家庭的な人だ

 

 

生きるために

家族を守るために

戦うんだもの・・・

そりゃあ そうか

 

 

あ?

何か言ったか?

 

 

ウンスの独り言に

耳をそばだて

チェヨンは訝しげな顔で

聞き返す

 

 

ううん

なんでもない

ヨンが旦那様で

よかったって

しみじみ思っていたとこよ

 

 

おだてても

何もないぞ

 

 

まあ 期待したのに!

うふふ

 

 

そんな戯言を

夫婦で話していると

足の速いサンが

血相を変えて

両親のもとへ

飛び込んで来た

 

 

オンマ!

オンマぁ〜

 

 

如何した!?

 

 

タンや娘達に何か

あったのだろうかと

ウンスより先に反応し

その場をかけだしたのは

チェヨンだった

ウンスもゴンを抱えて

険しい表情を浮かべた

こんなのどかな別邸でも

刺客がいないとは限らない

子供達が誘拐でもされたら

ウンスの心臓はばくばくと

鳴った

 

 

オンマぁ

たすけてあげて〜〜〜

オンマぁ

ユニョンがないてるの

 

 

ユニョン!!

何があったの?

怪我したのかしら?

 

 

そう考えただけで

ウンスは

体がブルブル震えた

辺りを見回すと

ちょうど

温泉を引いた湯殿のそばに

子供達が円陣を組んでいた

その真ん中にいるのは

ユニョンだ

 

ウンスより先に

チェヨンが

子供達のところに到着し

状況を把握している

そして チェヨンは

ふっと息を漏らし

声を張り上げた

 

 

イムジャ

子供らは大丈夫だ

案ずるな

 

 

ホッと胸を

なでおろしたのもつかの間

白い雪の上に赤い斑点が

続いていて

よくよく見ると

ユニョンは白い物体を

抱きかかえていた

 

 

ん?あれって・・・

トッキ(兎)??

 

 

近寄って見ると

ユニョンが抱いているのは

やはり白い兎だった

 

 

オンマぁ

あのね

この子 けがしてる

 

 

ユニョンは

トッキを母親に差し出した

小さなトッキは

黒い瞳を震わせながら

ウンスを見つめた

 

 

獣に襲われたのかしら

足 傷になっているわね

 

 

うん・・・

 

 

タンもスニョンも

心配そうだ

 

 

さすがに・・・トッキの

手当てをしたことは

ないんだけど・・・

まあ 基本は同じ

大丈夫よ

見た所そんなに

深い傷じゃあないし・・・

タン ヘジャに言って

救急箱を持ってきて

輿に積んであると思うから

 

 

わかった!

ねえ オンマ

この子 ケンチャナ?

治るよね?

 

 

ええ

完治までしばらく

かかるでしょうけど

大丈夫よ

ほらほら ユニョンも

スニョンも泣かないのよ

大丈夫よ・・・

 

 

ウンスは不安そうな

子供達をなだめるように

優しく言った

 

 

サン

お水がいるわ

それに消毒も準備して

持ってきてくれる?

 

 

うん わかった

 

 

サンはにぃにの

あとを追いかけて

走り出した

 

 

スニョン

トッキを寝かせる場所

縁台の上に

用意してくれる?

 

 

うん オンマ

わかったわ

ヘジャ ヘジャ

おふとんないかしら?

 

 

スニョンも駆け出した

 

 

さあ ユニョン

じゃあ

治療できる場所に

トッキを移動しましょうか

 

 

うん

でも・・・ほんとうに

なおる??

 

 

ええ まずは傷口を

よく診てみましょうね

ヨン

ゴンをお願い

 

 

ああ 任せろ

 

 

ウンスは三男坊のゴンを

夫に預けると腕をまくり

そして髪を一つに束ねた

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

優しい時間

愛しい時間

思い出も

今この時も

 

 

 

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話の更新が

ストップしている間にも

日常が進んでおりました

 

今年受験生を抱えている

ご家族もいらっしゃることと

思いますが

いよいよ受験本番ですね

どうぞ気張らず

でも気を抜かず

力を発揮できますようにと

お祈りいたします

 

被災地では

まだまだ復興へは遠い道のり

少しでも安寧に

お過ごしいただけますように・・・

当たり前の日常が

目の前から消えてしまう苦しみ

を思うと 胸が痛いです

 

阪神淡路大震災から

今年で29年・・・

17日にブログを更新

できなかったのですが

ニュースを見ながら

当時を振り返りました

 

どんなに時が経とうと

癒されることのない思いも

あるのかもしれません

でも

人の心の強さと優しさを

信じて・・・

 

 

 

haruに対しましても

たくさんのご心配

励ましを

ありがとうございました

感情の波が入り乱れ

ふとした瞬間に

悲しみが押し寄せてきて

まだまだ今まで通りとは

いきませんが

またこうしてお話の世界に

戻ってくることが

できました

どうぞまた

おつきあいくださいませ