ミジュはお寺参りの後

菊花診療所にいた

 

養成所がたまの休日には

必ず実家に顔を見せるように

親に言われているのだが

その実家に行く前に

診療所に

母親ための補薬を

受け取りに来たのだ

 

補薬はもちろん典医寺でも

処方してもらえる薬だが

母親は菊花診療所の薬の方が

より効くと信じていて

もらって来てほしいと

帰省のたびに

ミジュは頼まれる

 

 

決して典医寺の処方を

信用していないわけでは

ないのですが・・・

母がどうしても

ユ先生のところのお薬が

いいって言って・・・

すみません

 

 

いいや 構わないよ

父上には悪いけど

そこまで言ってもらえて

嬉しいよ

だけど

あいにくユ先生は

入れ違いに王宮だけどね

 

 

イサは手際よく

補薬の処方を書き込むと

薬員のモグァにそれを渡した

ウンスのいない診療所は

皆 わきまえたもので

心なしか患者の数も少なく

イサも手隙だった

 

 

ミジュさん

少しお待ちくださいね

すぐに用意して来ます

 

 

有能な薬員のモグァは

イサに頼まれ

早速 薬剤室に向かった

 

 

そうでした 

ユ先生

今日は王妃様のところ

ですね?

 

 

うん

診察というより

あれは・・・

もはや茶飲友達かな?

王妃様もユ先生と

色々話をすることで

スッキリするんだから

心理療法ってとこだろうね?

 

 

なるほど!

みんな ユ先生を

頼りにしているから・・・

でも お忙しすぎて

倒れないかと心配ですよ

 

 

そうだね

けど ユ先生には

ヒョンが付いているから

大丈夫だろうさ

ちゃんと手綱を引いて

仕事に関しては

無理はさせてないみたいだ

 

 

「仕事」と言う言葉を

少し強調してから

イサはくくっと笑った

妻としてのウンスには

チェヨンは無理を働くのだ

 

 

ああ そうそう

養成所も

卒業試験が近いだろ?

ユ先生 今日は

問題の選定もして来るって

言ってたよ

あ これは先輩たちには

ナイショの話だけど

 

 

はい 

わかっております

他言はいたしません

 

 

うん よろしく

それにしてもあの二人

朝から

うきうきして・・・

いや 

うきうきして見えたのは

ヒョンだけか?

ほんと 

わかりやすい人だな

ヒョンの妻贔屓は

ずっと変わらないからね

 

 

イサは笑いながら言った

家族に見送られて

渋々出仕する日と違って

妻と一緒の日は

チェヨンの浮かれ具合が

ダダ漏れなのだ

 

 

あら ミジュさん

いらしてたんですか?

 

 

そこへ医女のリョウォンと

下働きのオルがやって来た

 

 

はい 

お寺にお札をもらいに行った

その帰りなんです

こちらにはお薬を受け取りに

 

 

ええ?お札?

何かお困りごとでも?

 

 

リョウォンは首をかしげた

医女モモの代わりに

診療所の医女になった彼女は

以前は恵民局で働いていて

すぐに偉ぶる医官たちに

辟易としていた

ここの職場環境は全然違って

人間関係も良いし

強制的な時間外労働もないし

患者さんすら親切で働きやすい

何より一人一人の能力を

高く評価してくれる

ユ先生のおかげで

毎日気持ちよく働けるのだ

 

ここに来るまでは

先輩医女だった

一期生のテヤンみたいに

養成所に入って医官になって

横柄な上役を見返したい

と 思っていたが

今はこのままこの診療所に

医女として勤めるのも

悪くないかもと思っている

 

リョウォンはしばし

思案顔で

それからポンと手を打った

 

 

あ!

あたし 

わかったかも!

例の件で

安産祈願でしょう?

若様 楽しみにされて

いましたもんねぇ

 

 

へ?にぃにが?楽しみ?

安産祈願って?

どう言うこと?

ミジュが産むの?

ん?まさかお母上?

いやいや?????

 

 

訝るイサを見て

ミジュはクスクス笑った

 

 

若先生 ハズレですよ

私 今は結婚よりも

立派な女医になる方が先で

ましてや出産は

まだまだ先ですよ

 

 

そうですよ

若先生ったら

そんな

トンチンカンなことを

言って〜だから

トッキ(兎)の件で

ユニョンお嬢様にも

叱られるんですよ〜

 

 

まだあどけなさの残る

オルも面白そうに

笑っている

イサは頭をかいて苦笑い

 

 

なんで

オルまでトゥンの件を

知っているんだい?

まったく〜

ここは油断も隙も無いな

 

 

だって〜

サン様が言ってましたもん

若先生を見張ってなきゃ

トゥンちゃんが

食べられちゃうって〜

 

 

ああ〜またぁ

余計なことを・・・

おしゃべりだなぁ サン

あのなぁ

ほんのちょっと

からかっただけなんだぞ

なのに

チェ家の子供たちは

根に持つタチだ

まあ・・・

その話はいいから

それで・・・ミジュは

誰の安産祈願をしたんだ?

 

 

決まってますよ!

うちの犬ですよ!

今度こそ

今度こそ

メス犬が産まれますように

お参りして来たんです

 

 

ああああ

そう言うことか・・・

 

 

イサはようやく

納得した顔で頷いた

 

実はミジュは

昨年のタンの誕生日に

愛犬フンの

お嫁さんをソンムルすると

タンに申し出ていた

けれども ミジュの屋敷で

産まれた子犬三匹は

どの子もみんなオスだった

 

ユ先生は

「気持ちだけで十分よ」

と言っていたが

楽しみにしていた

若様との約束を

破るワケにはいかない

それに

子犬だとばかり思っていた

愛犬のフンも

すでに八歳になる

犬で言えば老年期の部類だ

早くお嫁さんを迎えなければ

王家に連なる血統のいい

犬の血筋が途絶えてしまう

 

 

うちの子

春には出産予定ですから

今度こそ

フンちゃんにお嫁さんを!

 

 

ミジュは真剣だった

 

 

まあ こう言うのは

巡り合わせだからねぇ

ご縁があったらいいね

 

 

イサは笑って

ミジュに答えた

 

 

 

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コロナもインフルも

増えているようですね

どうぞ

お気をつけくださいませ

また

おつきあいくださいね〜