あともう少しで
手に入るはずだった
 
美容外科激戦区のカンナム
一等地でクリニックを開く夢
そのために嫌な仕事も
講演会も
雑用でも何でも
なりふり構わず引き受けた
 
新しい術式を学会で発表し
その手柄で
スポンサーを見つけ
投資を取り付ける
いい物件を見つけて
最新の医療設備に囲まれ
有能なスタッフを引き連れ
評判のいい美容整形外科の
院長になる
けれどあの頃描いた夢は
叶わず終わった
 
 

目をさますと

そこは見慣れた光景の

閨だった

オンドル(床暖房)のせいか

妙にジワリと汗ばんで

ウンスはふっと息を吐き

よろよろと起き上がった

 

夕餉を終え

子供達を寝かしつけ

あの人が帰るまで

ちょっと横になろうと

寝台に転がって

そのまま寝落ちしたようだ

 

 

まだ帰ってないのね

忙しいのかな

 

 

彼のことを思えば

大抵のことは

乗り切れるのに

昔の夢を見た後の

独りぼっちはきつい

 

愛する夫がいて

子宝に恵まれ

友人や気心知れた仲間も

たくさんいて

人間関係も家庭内も円満だ

医仙と崇められ

医療の発展に貢献し

患者にも慕われ

仕事にも

何の不満もないのに

 

 

どおして

あんな夢・・・

見たんだろ?

 

 

ぼんやり揺れる灯りを

見つめながら

ウンスは首を振った

現代にいた頃のことは

滅多に思い出さないのに

なぜだか鮮明に

コエックスでの講演会が

夢にも出てきたのだ

 

 

疲れているのかしら?

嫌だわ・・・変な夢・・・

しっかりしなさい

ユ・ウンス!

 

 

顔をパンパンたたくと

頭の上で声がした

 

 

如何した?

 

 

ええ?やだ ヨン?

いつ帰ったの?

もう!気配消しすぎよ

びっくりするじゃない!

 

 

それは驚かせてすまぬ

イムジャが深刻そうな

顔をしておるゆえ

何かあったのかと・・・

 

 

心配そうな黒い瞳に

吸い寄せられて

ウンスは腕を伸ばした

 

 

どうした?

 

 

チェヨンはウンスの隣に

腰掛けると

その腕を自分の首に回させ

背中を抱きしめた

 

 

ヨンが帰って来てよかった

黄昏時でもないのに

何だか寂しくって・・・

 

 

あ?俺は

イムジャがそばにいないと

いつも寂しく思うぞ

 

 

まあ 

そうなの?

知らなかった 

 

 

わざと言い返すと

チェヨンは拗ねた顔で

横を向いた

その顔を両手で包んで

ウンスはその瞳を覗き込む

 

 

ヨンの綺麗な瞳に

私が映っている・・・

それが嬉しいの

 

 

そうか

 

 

うん

ヨン・・・

肌に触れてもいい?

 

 

それは構わぬが・・・

まだ湯浴みも

着替えも済ませて

おらぬぞ?

今の俺は

イムジャの言うところの

衛生上好ましくない状態

なのではないか?

 

 

そうね

衛生上よろしくないけど

私の精神衛生上

大事なことだもの

構わないわ

 

 

ん?それは?

どう言う意味か?

 

 

それは・・・

平たく言えば・・・

今すぐヨンが欲しい

って・・・こと・・・

 

 

するすると衣擦れの音が

閨に響いている

愛しい人の息遣いが荒く

耳に届く

 

 

ヨンの肌に

ずっとスリスリしていたい

 

 

二の腕に頬を寄せ

ウンスがスリスリすると

チェヨンはぼそぼそ

言い返した

 

 

イムジャの肌の方が

よほど気持ちがよいぞ

 

 

そお?よかった・・・

 

 

床に脱ぎ散らかされた

衣の数々

明日の朝 子供達に

見つかる前に片付けなくちゃ

ウンスはそんなことを

思いながら

チェヨンの背中をぎゅっと

抱きしめ

体中に広がるチェヨンの

香りを吸い込んだ

チェヨンの口づけの雨は

なかなか

降り止みそうにもない

ウンスはそれが

とても幸せに思えた

 

 

過去は過去

振り返っても仕方ないわ

だって私は

ヨンの隣にいる今の自分が

一番愛しいもの

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

あなたの夢は何ですか?

今 夢はありますか?

 

 

黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花

 

 

更新に少々間が空きました

いかがお過ごしでしょう?

 

さて

四季を通してお届けする

本編の今年のお話のテーマは

꿈(クム夢)といたしました

子供の頃はいろんな夢を見て

いたはずなのに・・・

 

大人になるにつれ

日々の忙しさに追われてか

夢を見ていたことさえも

忘れてしまう・・・

でも大人だって

小さな夢 大きな夢を

持ってもいいよね?

語り合ってもいいよね?

と そんな気持ちを込めて

「高麗徒然日記 꿈夢」

 

新章スタート

「あなたの夢は何ですか」

何とも直球なタイトルですが

お楽しみいただけたら幸いです

 

 

またおつきあいくださいませ

安寧にお過ごしくださいね

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