勝手をして申し訳

ありませんでした

奥様・・・

 

 

昼休憩に

奥へ戻ろうとしたウンスに

厨房から出て来たヘジャが

声をかけた

 

 

え?ヘジャ?

もう帰って来たの?

今夜は実家に泊まって来て

良かったのに・・・

お姉さんと積もる話も

あったでしょう?

 

 

いいえ

めっそうもない

ヘジャばかりか

オクリョンとタルまで

お気遣いいただきました

奥向きのこと

ご不便をおかけして

申し訳ありません

これ以上のご迷惑は

亡き母に叱られて

しまいますので・・・

 

 

ヘジャは律儀に答えた

お屋敷には決して

迷惑をかけない

お屋敷第一で

チェヨンに信義を尽くす

それが

ヘジャの母ソンオクの

信念だったが

 

 

あれからもう七年・・・

早いわねぇ

 

 

ウンスは遠い目をして

空を見上げた

七年前の二月に逝った

かつての女中頭ソンオクは

チェヨンにとっても

使用人以上の大事な人

母のような祖母のような

相手だった

結婚したての頃

ウンスのもとに押しかけて

チェヨンの幼い頃の話を

聞かせてくれたり

おしめを一緒に縫ったりと

頼れるハルモニだったが

その彼女が急逝したのが

まだ寒い七年前の二月のこと

 

 

本当は

命日にお参りできたら

良かったのに・・・

ごめんなさいね

 

 

ソルラル(旧正月)や

診療所の仕事の他にも

王宮へ出向く用事も色々あり

留守がちなウンスに代わって

奥のことは

ヘジャに任せきりで

気がつくと

すっかり命日も過ぎていたのだ

ウンスが申し訳なさそうに

ヘジャに言うと

ヘジャは大きく首を振った

 

 

ヘジャもお屋敷第一で

ございますよ

それに実家はなんとも

落ち着かないのです

お屋敷で働いているのが

性に合ってございます

ここがヘジャの

我が家でございます

あっ

ヘジャとしたことが

なんと厚かましいことを

今の話は

お忘れください 奥様

 

 

ヘジャは焦った風で

頭を下げたが

むしろ

ウンスは嬉しく思った

 

 

うちを我が家と思って

もらえて良かった

 

 

ウンスの返事に

ヘジャは照れたように

俯いてぼそぼそ言った

 

 

ゴン様は先ほどから

お昼寝をされております

サン様とスニョンお嬢様は

テマン様がソダンに

お連れになりました

 

 

そお

ありがとう

 

 

ところで 奥様

学生の皆様にお茶と

お漬物をお出ししても

よろしいでしょうか?

 

 

さすがヘジャ

みんな 喜ぶわ

今はイサにかぶりつきで

鍼灸の復習をしているみたい

だけど いくら実習でも

少しは休まないとね

 

 

ウンスは後のことを

ヘジャに頼み

ゴンの様子を見に

奥へ向かった

 

 

ゴンは子供用の寝台で

昼寝をしているようで

子守のクリムは

ゴンのそばに控え

繕い物を仕上げていて

サムウォルは

三つ子のいない間にと

子供部屋の床を磨き上げながら

二人はウンスに気づかず

おしゃべりをしていた

 

 

え?クリムさんも

若様に聞かれたの?

夢は何って聞かれてもねぇ

よくわからないの 正直

でもスラスラ字が書けたら

いいなぁ〜とは思う

 

 

う〜〜ん

それって夢って言って

いいのかなぁ?

 

 

サムウォルの答えに

クリムは首をかしげた

 

 

だって それが

あたしが今

一番叶えたいことよ

じゃあ

クリムさんには

何か大きな夢があるの?

 

 

ええっと〜

大きなってわけじゃないけど

あたしはいつか自分の

お店を持ちたいなぁ

 

 

へえええ 

お店の女主人?

それで何を売るつもりなの?

 

 

そうだなぁ

絹織物がいいかしら?

だって見ているだけで

綺麗でワクワクするもんね

 

 

盗み聞くつもりは

なかったのだが

ウンスは部屋の前で

二人の話を聞き

微笑ましく思った

 

実は先日 

息子のタンのソダンの宿題で

「将来の夢」について

考えをまとめるように

言われていたのは知っていた

それでタンが周りの大人たちに

あれこれ質問しているのも

わかっていたが

クリムやサムウォルにまで

話を振っていたとは・・・

 

 

そっかぁ 二人には

そんな夢があったのね〜

クリムのは

すぐに叶わないとしても

サムウォルの夢・・・

文字を覚えるのは

他の女中たちにとっても

暮らしに役立つし

必要なことよね〜

どおして今まで

気づかなかったのかしら?

早速 方法を

検討しなくっちゃ〜

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

自分の夢もいいけれど

誰かの夢を応援するのも

素敵なことだと思う

 

 

黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花黄色い花

 

 

ソンオクが亡くなった話が

もう七年も前のことなのですね〜

ウンスのつぶやきじゃないけれど

お話の中と

同じ時間軸を過ごしてきたから

「本当に早いなぁ〜」と

思ってしまいますダウン

 

 

 

またおつきあいくださいませ

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