翌朝 ユニョンは
父チェヨンの口から

自分がウ王子の妃候補に

名前が挙がっていることを

他の子供たちもいる前で

聞かされた

 

 

やだよ

ユニョンがおおきゅうへ

行っちゃったら

もうあえないもん

サン やだよ

ぜ〜〜〜ったい やだ!

 

 

サンは憤慨して

父親に言い返した

 

 

ユニョン

大丈夫だよ

にぃにたちが付いているから

王様の思い通りになんか

させないよ!

 

 

タンはユニョンの瞳を

じっと見つめて

力強く慰めている

普段は

喧嘩ばかりしているのに

兄弟姉妹の絆を感じ

ウンスは微笑んで

子供たちを見回した

 

一方ユニョンは比較的

落ち着いて話を聞き

その上で

泣き出したサンを見つめて

苦笑いしていた

 

 

あのね

ユニョンは確かにまだ

幼いけれど

私はちゃんといろんなことを

考えられる子だと

思っているわ

どちらかというと

考えすぎてしまう気も

するんだけど・・・

だからこそこの件は 

よく考えてみて欲しいの

返事はゆっくりで・・・

なんなら大人になるまで 

十年かかっても構わないと

思っているのよ

だって結婚は

一生のことだもの

それに

人に命令されて

決めるもんじゃないし

 

 

ええ?王命なのに?

 

 

ユニョンは驚いた顔で

答える

 

 

王命で結婚を強要されるなら

断固 あなたを守るわ

誰かのために結論を

急いで出す必要もないの

 

 

それに王命にひるむほど

お前たちの両親は

弱くないぞ

 

 

チェヨンが口を挟む

 

 

案ずるな

いざとなれば逃げれば良い

俺もお前たちの母上も

王宮からの

出奔には慣れておる

 

 

まああぁ チェヨン

そんな昔のことを

今頃蒸し返すの?

確かに逃げたけど・・・

ちゃんと戻ったでしょう?

それにしても懐かしい話

 

 

ウンスは物思いにふける

顔つきをして

それからプッと吹き出した

 

 

そおね

逃げましょうか

それで漁師をして

親子七人で暮らすの

いいわね〜

それも楽しいわ

 

 

おおらかな母の言葉に

ユニョンは肩の力が

ふっと抜けた気がした

 

 

話が終わるといつも通り

朝餉を皆で食した

ゴンがお皿をひっくり返し

チェヨンが大忙しで

卓の上を片付けている

そのすきに

サンが嫌いな野菜をこっそり

スニョンの皿に入れ

スニョンはそれに気づかず

いつのまにか増えたおかずを

黙々と食べ

タンが蒸し鶏のお代わりを

ヘジャにせがみ

ユニョンは

でじゃーとのキュル(蜜柑)に

心を持って行かれている

賑やかな食事風景

 

そんな子供らの光景を

ウンスが見つめていると

夫と目があった

 

本当に

この一瞬一瞬が愛おしい

 

子供たちは日に日に成長し

この時間が永遠に

続くわけはない

とわかっているのに

あともう少し

もう少しでも長く

夫や子供たちと一緒に

こんな時間を大切に

過ごしたい

そんなことを

ウンスは願っていた

 

 

 

 

ソダンに行く前に

ユニョンはイサに

呼び止められた

 

詳しいことを

聞くわけでもなく

「姫 大丈夫か?」

と イサはポツリと呟く

 

 

もしかして?ウ王子のこと

気にしているの?

ユニョンはへいきよ

イサは?

ユニョンのこと

お嫁さんにしたくなった?

 

 

ユニョンはキラキラとした

瞳でイサに尋ねたが

イサはぶっきらぼうに

言った

 

 

姫が王宮で

苦労するくらいなら

オレがそばで守ってやる

もちろん・・・

兄として・・・

 

 

兄か〜ぁ〜

そういうのイサらしい〜

でも ユニョンね

そんなに弱い子じゃないよ〜

それにユニョンには

たよりになるにぃにがいるから

だいじょうぶ

 

 

ユニョンは笑った

そして密かに

ふっとため息を漏らした

 

どんなに好きだと伝えても

イサは核心部分を

いつもはぐらかす

相手が子供だからなのか?

それとも

チェ家に対する遠慮なのか?

 

いいや

こんな幼い娘のことを

イサが

恋い慕う対象で見るわけは

ないことくらい

本能でユニョンにも

よくわかっていた

 

 

ウ王子はまっすぐで

いい人だよ

それにやさしい人

だって

にぃにとおなじような

色がみえるもの

 

 

そうなのか?

 

 

うん

 

 

イサは複雑そうな

なんとも

もどかしそうな顔で

ユニョンを見つめたが

その視線を振り切るように

 

 

あぁっ 

もうソダンに いかなきゃ

スニョンたちがまってるの

 

 

ユニョンはイサにそう言って

門のところで

遅い遅いと

手招きしている姉の方に

駆け出した

 

 

季節は

雪解けがいっそう進み

そろそろ桜の便りが

聞かれるような頃へと

移り変わって行く・・・

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

手の届く幸せ

手の届かない幸せ

手を伸ばせない幸せ

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

季節の変わり目です

安寧にお過ごしくださいね

また

おつきあいくださいませ

 

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