チェヨンは腕の中で眠る
愛しい妻を見つめた
夜はとっぷり更けて
子供達の寝息以外
あたりは静寂に包まれている
 
 
誕生の祝いにと
少々無理をさせたか?
 
 
チェヨンは反省を込めて
ぼそりと呟いた
夫の激しい欲望の塊で
すっかり疲れ果てさせ
妻は泥のように眠っている
 
その眠りを妨げないように
チェヨンは彼女の髪を
そっと撫でた
 
息子タンが母のためにと
彫刻した
美しい蝋燭の炎が揺らめいて
甘い香りを放っている
 
そういえば
ウンスの誕生日を祝うのは
今年で何度目だろう?
 
チェヨンはふと
そんなことを考えた
タンが生まれる前から
妻の誕生日を祝ってきたから
十回目だろうか?
 
もうそんなに時を重ねたのか
という思いと
まだそれだけしか
一緒に過ごしていないのか
という不思議な感覚を覚える

 

誕生日の贈り物・・・

天がチェヨンに遣わしてくれた

最高のソンムルは

この女人であることは

疑いようがなかった

 

ウンスの肩を抱き寄せ

そのおでこに唇を当てると

ううっんと声が聞こえた

 

 

そのような

艶かしい声を聞くと

一度は収まった欲が

またむくむくと

湧き上がるではないか・・・

困ったお方だ・・・

いや 困らせているのは

俺の方か・・・?

 

 

チェヨンはひとりごち

苦笑した

求めても求めたりない

春の夜

 

 

それにしても子供らも

すっかり

大きくなったものだな

 

 

チェヨンは今宵の

宴を振り返った

家族水入らずで過ごした宴

本当はウンスの慰労も兼ねて

温泉付きの別邸にでも

出かけたいところだったが

あいにく

養成所の入学式と重なり

また子供らもソダンがあるので

結局行けずじまいだった

だが屋敷で過ごすのも

それはそれで良いものだった

 

子供達の祝いの歌や踊りで

幕を開け

ヘジャの自慢の肉料理の数々が

豪勢に振舞われた

牛の焼き物 鶏の蒸し物

ポッサム(豚料理)

もちろん天界の風習に倣って

ワカメのスープもあった

 

どれもこれも

ウンスが好きだという

料理ばかりで

もちろん子供達も大満足

 

そして 

そのあと披露された

力作のけえきを見たウンスは

感激して涙ぐんでいた

 

チェヨンにとって

嬉しそうな妻の笑顔が

何よりのご馳走で

何よりの幸せだ

 

最後にさぷらいずは

ソンムル贈呈

子供達の笑い声に包まれて

ウンスは

本当に幸せそうだった

 

そんなことを思い出しながら

チェヨンがふぅと息を吐くと

ウンスのまつ毛が揺れた

 

 

ん?いやだ

私ったら?いつの間に?

寝ちゃった?

 

 

パチリと目を開け

ウンスはチェヨンを見つめた

 

 

ああ 構わぬ

疲れたであろう?

も少し

ゆるりと眠るがいい

 

 

うん

ありがとう・・・

 

 

ウンスはチェヨンの

胸に顔をこすりつけ

クスクス笑った

 

 

あ?

 

 

楽しかったなぁ

パーティ・・・うふふ

ありがとう 旦那様

 

 

そうか?

それは良かった

子供らの頑張りのおかげだな

 

 

そおね

あの子達 

日々たくましく育っている

あのケーキもすごかったわ

 

 

ああ 

そうだな

イムジャのおかげで

子供らは賢く優しく

育っておるぞ

 

 

ううん

あの子達は

父親のヨンの背中を見て

育っているのよ

度胸があるし

思いやり深いし・・・

とにかく 私は

あなたが父親で良かったって

本当にそう思うの

 

 

おだてても

これ以上何もないぞ

 

 

うふふ そお?

もう十分

今年も素敵なソンムルを

いただいちゃったわ

 

 

ウンスは指にはめた

金色の指輪の

藍色の玉を見つめ微笑んだ

 

 

すごく綺麗

 

 

よく似おうておる

 

 

ウンスは今度は

お礼の言葉の代わりに

チェヨンの頬に口づけ

ささやいた

 

 

ねえ

もう一回・・・する?

 

 

あ?良いのか?

体は大丈夫なのか?

疲れておるだろう?

 

 

チェヨンは一応

妻を気遣った

 

 

体は疲れているんだけど

なんとなく・・・まだ

気持ちが高ぶっているの・・・

だって 

入学式も無事終わったし

王妃様と大妃様のことも

大丈夫だったから

緊張が解けたっていうか

それに

今夜の誕生日パーティ

すごく嬉しかったし・・・

さっき寝落ちしたから

余計に寝付けないみたい

ヨンならこの気持ちを

なだめてくれるでしょう?

 

 

あれこれ理由を述べる

ウンスを抱きしめ

チェヨンは頷いた

 

 

ああ もちろん

今宵はイムジャの誕生日

望みとあらば

仰せのままに・・・

 

 

チェヨンの唇が

首筋に触れた

 

 

んっ・・・

私・・・ここに来る前は

夢って・・・自分の力で

勝ち取るべきものだって

思っていたの・・・

だけど違ってた・・・

ヨンと暮らして

大事な人のために見る夢も

すごく素敵なことだって

わかったの・・・

ヨンと一緒に

大家族に囲まれて暮らすのが

ここに来てからの夢だった

 

 

その・・・夢は・・・

叶った・・・な

 

 

唇を重ねながら

吐息の合間に

チェヨンは言った

 

 

そおね・・・

だから今夜はヨンに

うんと「ありがとう」って

伝えたい気分

 

 

ウンスはチェヨンの首に

腕を回すと

彼の耳たぶに

ふっと息を吹きかけた

チェヨンはくすぐったそうに

身をよじり

ウンスに答える

 

 

俺も同じことを考えていた

俺のところに

舞い降りたイムジャにも

そなたをこの世に

遣わしてくれた天にも

イムジャを産み

育ててくれたご両親にも

俺は感謝しておる

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

いつか見た夢 今の夢

これから見る夢 

いつの日か どれくらい

夢は叶うだろうか

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

ウンスのお誕生日

幸せそうな夜でした

春の夢の中で

親子も夫婦仲も睦まじく

過ごせたようですね〜

 

またおつきあいくださいませ

 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村