ウンスの誕生日が過ぎて
しばらくしたある日
 
ユニョンは王宮からの

帰り道

イサと一緒だった

 

 

オンマはまだ

かかるんだって〜

これから王妃様のところに

行かなくちゃいけないから

まだかえれないの

だから先にかえっていいって

いわれたの・・・

 

 

ユニョンは一緒に

家に帰れると思っていた

母親が

まだ帰れないと知って

がっかりした口調で答えた

 

 

そうみたいだね

それでオレが屋敷まで

輿で送るように頼まれたんだ

ユ先生はヒョンと

チュホンで帰るってさ

 

 

ちょうど今日は診療所が

休診日で

イサはウンスの助手として

養成所に来ていたのだが

予定が押して

ウンスはまだ帰れそうに

なかった

 

 

ユ先生

養成所の講義だけじゃなくて

王妃様や大妃様の

健康管理も担っているから

ほんと忙しいんだよなぁ

でも

姫は先に帰って良かったのか?

まだ王子様と遊んでいたら

良かったんじゃないのか?

ユ先生を

待っていても良かったんだぞ

 

 

ウ王子がチェ家に

お忍びで遊びに来て以来

ユニョンは時々

王宮に招かれるようになった

王子様がチェ家に出向くという

方法もあるが

それだと警備の面も大変な上に

一国の跡取りが足繁くチェ家に

通うなど体面上もよろしくない

それで

ユニョンが王宮へ行く方が

良いということになったのだ

 

もちろん無理強いをされる

訳ではないから

ユニョンが

断ろうと思えば断れるのだが

(実際何度かは断りを

入れた日もあった)

なぜだかユニョンは

ウ王子のことを

放っておけなくて

これで二度目の訪問となった

 

 

王子様 おみやげに

おいしい蜜柑をくれたのよ

イサにもあげるね

 

 

イサの問いかけには

答えずに

ユニョンは

カゴいっぱいの蜜柑を

見せた

 

 

へえ

うまそうだな

 

 

うん

サンもよろこぶね

 

 

そうだな

最近はサンと

仲良くしているか?

姫とサンはすぐ喧嘩する

からなぁ〜

 

 

ダイジョウブよ

このところサンも

いい子になって来たもの

 

 

イサはプッと吹き出した

サンは同じ年なのに

いやに大人ぶった

ユニョンの物言いが

可愛く思えたのだ

 

 

何よ!イサ

どおしてわらうの?

 

 

いや

これは失礼

姫の言い方がなんだか

ばぁばみたいに思えたから

 

 

可愛かったから・・・とは

素直に言えずに

イサは適当にうそぶいた

 

 

ばぁば ねぇ〜

そおかなぁ〜

 

 

ユニョンは少々不満顔だ

 

 

姫は王宮に行くのは

嫌じゃないのか?

 

 

イサは急にそんなことを

尋ねた

 

 

いやじゃないよ

オンマと輿でお出かけも

たのしいし〜

 

 

そっか

兄弟が多いとなかなか

ユ先生を独り占め

できないもんなぁ

 

 

うん それに

アッパもいるしね

 

 

ああ そうだった

我が子に対してさえ

悋気の塊みたいな人が

いつもそばにいるもんなぁ

 

 

イサの返事に

ユニョンは面白そうに

笑った

 

 

イサは・・・

 

 

ん?

 

 

だれかをひとりじめ

したいって

思ったことある?

 

 

え?

 

 

ドキマギした

ユニョンの問いかけは

あまりに正面突破で

どう返すのが正解なのか

わからなかった

 

 

いや〜どうだろう?

 

 

王子様はね

 

 

ぬ?

ウ王子?

 

 

うん

ユニョンをひとりじめ

したいんだって〜

 

 

はあアァ?まったく!

ガキが何をほざいてる?

遊びながらそんなことを

言うとは

大したマセガキだ

ウ王子は

マセガキだなぁ

そんな臭いこと言われて

姫は嫌じゃないのかよ?

 

 

イサは胸の奥が

モヤモヤしていた

たとえ幼い男の子と言えども

ウ王子のユニョンに対する

思いは

きっと本物なのだろう

 

 

別に・・・

いやじゃないよ

ユニョンのこと

だいじに思ってくれて

いるんだなぁって

わかるもの・・・

 

 

は?大事だって?

それを言うなら

オレだって

オレだって・・・

姫のこと大事だ

 

 

うん

しってる

イサはみんなのこと

だいじだもんね

 

 

うまい具合に

はぐらかされた気がして

イサはぐっと言葉に詰まる

そうして

ようやく口から出た言葉が

「姫もウ王子を独り占め

したいってわけか」

だった

 

 

イサ

ユニョンは王子様じゃ

なくって・・・

 

 

ん?

 

 

ううん

なんでもない・・・

 

 

喉まで出かかった言葉

「イサを独り占めしたい」

でもそれを口にするには

ユニョンはあまりに

幼かった

 

 

その後二人は

なんとなく無口だった

 

ところが

でこぼこ道で

馬が足を取られ

輿が急にガタンと揺れた

 

ユニョンは座っていた席から

腰が浮いて

転げ落ちそうになったが

すんでのところで

イサに抱き上げられ

転げ落ちることはなかった

 

 

どこも打ってない?

怪我ないか?

 

 

うん

平気だよ

 

 

良かった・・・

雪解けの後で

道がまだ整備されて

ないから危ないな・・・

席からずり落ちないように

オレにつかまってろ

 

 

イサはユニョンに

手を差し出した

その手をユニョンは

しっかりと握った

 

 

ありがとう イサ

あのね ユニョンはね

ほんとはね・・・・・・

 

 

馬の蹄の音で

ユニョンの声の後ろは

かき消され

イサの耳には届かなかった

 

 

なんか言ったか?

 

 

イサの優しい瞳を

ユニョンは見上げて

首を横にそっと振った

それからイサの腕に

しがみつくと

寝たふりを決め込んだ

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

ただ純粋に好きってだけじゃ

ダメなんだろうか?

大人になると しがらみや

無駄な遠慮が多すぎる

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

イサとユニョン

年の差は十七歳!

先行きがなんとももどかしい

二人のようです

 

 

更新 ゆるゆるでミアネヨ

木曜日のうちに

アップしようと思っていたら

日付が変わっておりましたあせる

またお付き合いくださいね

 

 

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