輿の中で寝たふりを
しているうちに
ユニョンは本当に眠りに
落ちた・・・

夢から覚めないその姫を

大事そうに抱きかかえて

部屋まで運んだのは

他ならぬイサだ

 

その話を

帰宅後サンから

事細かく報告を受けた

父親のチェヨンは

妙にイサのことが

腹立たしく思えた

 

 

王宮で疲れたのかしら?

夕餉も食べずに

まだ寝ているなんて・・・

ヨン?

そんな悋気満載みたいな顔

ユニョンの前ではしないでね

しょうがないじゃないの

イサだって

眠ったユニョンを

起こさないようにって

気遣って

運んでくれたわけだし

 

 

だが抱きかかえるのは

やりすぎだぞ

そういうことは

父親の役目であろう?

 

 

あら それを言うなら

王宮に長居させたくないから

ユニョンをイサに任せて

先に帰らせよう

って言ったのは

ヨンじゃなかった?

ヨンには他の思惑も

あったんじゃないの?

今更

イサに嫉妬してどおするの?

 

 
ウンスは呆れた顔で
夫を諭す
 

日が暮れて

奥の間では夫婦と子供が四人

卓を囲んでいる

ユニョンは帰って来てから

まだ起きずに眠ったままだ

 

ウンスの用事が終わるのを

待たせてから

三人で一緒に帰るという

選択肢もあったのだが

長居は無用と

そうしなかったのは

チェヨンだった

 

愛馬チュホンにまたがり

妻と二人の時間を過ごしたい

そんな欲もちらりと

頭の隅を横切ったのは事実で

愛しい妻に本音を見透かされ

チェヨンは

ぐうの音も出なかった

 

 

ユニョン

王子様と何をして

過ごしたのかしらね?

叔母様もご一緒だったから

あとで様子を聞いてみなくちゃ

 

 

王宮ではチェ最高尚宮が

二人の警護を兼ねて

そばについていてくれた

それは叔母なりの

気遣いだろう

 

ウンスはユニョンが

なんども王宮へ通ううちに

ウ王子にとって

特別な相手 婚約者だと

印象付けられないか

密かに心配していたが

ばぁばと一緒に遊びに行った

という体裁を整えてもらって

少し安心していた

 

 

ねえ オンマ

ユニョンの

おみやげのキュル(蜜柑)

たべてもいい?

 

 

両親の間に割って入り

蜜柑をねだったのは

ユニョンの予想通り

サンだった

サンはカゴにこんもり盛られた

貴重な蜜柑に釘付けだ

 

タンとスニョンは

黙々とご飯を食べながら

そっと両親の話に

耳を傾けている

二人とも

王宮から戻ったユニョンの

ことを案じているのだ

 

 

あら サン 

ナムルがまだ残っているわよ?

このナムルを

食べてからなら

キュルを食べてもいいわ

 

 

母親に促され

サンは顔をしかめた

 

 

え〜〜〜〜

やだ〜〜〜〜

それ 

まずいもん〜〜〜〜

 

 

そんなことないわよ

ヘジャの料理はなんでも

おいしいでしょう?

サンは見た目で食べず嫌い

じゃないの

せっかくヘジャが

心をこめて作ってくれたのよ

美味しいから

食べてごらんなさい

 

 

カムジャ(芋)の

煮っころがし

山菜のナムルと天ぷら

鮮やかなケランマリ

芳ばしい焼き魚

沈菜(水キムチ)

素朴な料理が卓に並んでいる

 

母親に促され

サンは仕方なく

鼻をつまんで

息を止めて

山菜を一口 口に運んだ

ごま油の香りが

口の中に広がって

思ったよりはまずくない

 

 

たべた!

 

 

ごくんと飲み込んで見せて

サンは得意そうに笑った

 

 

ねえ ウリオンマ

この天ぷらおいしいから

ユニョンにとって置きたいの

いい?

 

 

スニョンが

なかなか起きてこない妹を

気にかけてそう聞いた

 

 

ええ もちろん

でもスニョンもたくさん

召し上がれ

栄養をつけないと

ばぁばみたいな立派な

剣士になれないわよ

 

 

もともとスニョンは

食が細く

ウンスを心配させていたが

剣術の稽古を始めてからは

随分と食べる量も増えている

 

 

は〜い

わかったわ

なんでも残さず食べるもん

あ ゴンがキュルを

皮ごと食べちゃったわ

あぁあ〜

ゴン ケンチャナ?

 

 

あぁ〜い

うまうま〜〜〜っ

 

 

もぐもぐ口を動かして

げほげほ言いながら

皮を吐き出し

ゴンは甘い蜜柑を喜んで

卓をバンバン叩き

もっともっと

と催促している

 

 

困った子ねぇ

蜜柑ばっかり食べて〜

 

 

ウンスはサンの時と違って

ゴンの口に

皮をむいた蜜柑を放り込む

末っ子にはついつい

対応が甘いのだ

 

 

ゴン

魚も食べぬと

大きくなれぬぞ

 

 

そんな時は父親が

ゴンの口に魚を運ぶ

もともと素直な性格のゴンは

駄々をこねることもなく

大きな口を開けて

父親が差し出した匙を

パクッとくわえた

 

 

いい子だ

なんでも食べて

タンやサンのように

大きくなるのだぞ

 

 

あぁ〜〜〜い!

 

 

ええ?アッパ?

サン 大きい?

ねえ 大きくなった?

 

 

ああ サンは小さく生まれ

とても心配だったが

筋肉もしっかりついて

背もだいぶ伸びたであろう?

ちゃんということを聞いて

苦手なものも食べておるからだ

 

 

そっかぁ

じゃあ ナムル

もう少し 食べる!

そしたらもっと大きくなる?

 

 

ああ

 

 

父親に力強く頷かれ

サンは嬉しくて

口いっぱいに

ナムルを頬張った

 

 

イムジャ

皆 素直ないい子に

育っておるな

 

 

うふふ

私に似たのかしら?

 

 

ん?イムジャは素直か?

どちらかといえば・・・

意地っ張りではないのか?

 

 

まああ!

意地っ張りじゃないわよ

じゃあ ヨンは

なんでも夫の言う通り

従順な女の人がいいって

言うわけ?

 

 

そういうところが

意地っ張りというのだ

 

 

もう!

 

 

だが俺は

そう言う意地っ張りで

頑固なイムジャに

相当惚れておる

 

 

やだ

子供達の前で

何を言い出すのよ〜

 

 

ぼっと頬を赤らめて

ウンスはチェヨンを見つめた

 

 

オンマとアッパは

ものすご〜くらぶらぶ〜ね

いいなぁ〜

 

 

ようやく

起きて来たユニョンが

二人の会話を聞いていて

笑った

 

 

ユニョン 

はやく ご飯食べよう!

天ぷらとってあるよ

 

 

ユニョン

ケンチャナ?

今度はにぃにも一緒に

王子様のとこについていくよ

 

 

ありがとう

にぃに スニョン

あぁ〜

オンマ!おなかすいたぁ

 

 

こっちにいらっしゃい

ユニョン

 

 

家族七人がようやく揃って

春の夜

再び賑やかに卓を囲んだ

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

家族で過ごすひとときが

穏やかで心地よい

時間でありますように

 

 

桜桜桜桜桜桜桜桜桜

 

 

連休の合間の平日ですが

みなさま 

いかがお過ごしですか?

明日から五月とは

信じられない早さです

ところで

連休中は日頃離れて暮らす

家族や友人と一緒に

過ごすと言う方も

いらっしゃることでしょうね

チェ家のように

どうぞ楽しく

良い時間になりますように〜

 

安寧にお過ごしください

またおつきあいくださいませ

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村