歴史探偵 諏訪欧一郎の事件簿 ~謎の土岐次郎 第1夜~ | 李厳さんの独り言

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諏訪「ファ~~ァ… 久しぶりに仕事でもすっかぁ…」

神崎「とても社会人とは思えない発言ですね」

ケン太「大変だ! さっきから犬千代の元気がないよ!」

犬千代「…ニャ……ニャー……」

諏訪「ははぁ、さては経費節減の為に、カリカリを1/3に減らしたのがまずかったかな?」

ケン太「鬼!」

神崎「悪魔‼」

諏訪「おいおい、酷い言い様だな」

神崎「先生こそ、食事の量を減らしたら如何ですか! 最近、下っ腹が出てますよ」

諏訪「だって腹減るもんは仕方ないだろ。 …あれ?そういえばレンジで温めといたラザニアは…」

ケン太「すでに我が腹に…」

諏訪「テメこのやろ!」

ケン太「なにをっ!」

神崎「2人とも、止めなさい!」

犬千代「…ニャ……ニャー……」









……

諏訪「神崎君、メールボックスに依頼は来てるかな?」

神崎「え~、一件来てますね。 依頼者は…」

ケン太「依頼者は?」

神崎「斎藤義龍さんですね」


諏訪「おお、六尺五寸殿ではないか」

神崎「繋いでよろしいですか?」

諏訪「うん、よろしく」








諏訪「お初に御意を得ます。 私、諏訪探偵事務所を預かる諏訪欧一郎と申します」

義龍「おお、それがし美濃の斎藤新九郎と申す」



ケン太「…(ゲッ、超デブやんか)」

神崎「…(てか、身体自体も大きいわね)」




諏訪「この度は調査依頼をいただき、誠にありがとうございます」


義龍「おう、実はの… 『土岐次郎』について聞きたいことがあってな」


諏訪「『土岐次郎』…ですか?」


義龍「うむ、…それがしは先日、止む無き事情で父道三入道に対し、兵を挙げたものの…」


諏訪「………」


義龍「父を追放した甲斐武田殿とてあの言われ様… まして万一殺したとあっては、何をするにも悪い噂がついて廻り、まつりごとにも支障をきたす事になる」


諏訪「……はい」


義龍「そこでじゃ。 我らの正当を世に訴えるに、父の国盗りを悪行として喧伝することにしたのじゃが…」


諏訪「父の国盗りを悪行として……ですか」


義龍「……それがしとて本意ではない。 じゃが、国を一つにする為には…」


諏訪「失礼しました。 お続け願えますか」


義龍「うむ… ところがどうしたことか、父が殺した『土岐次郎』が誰なのかよく判っておらぬのじゃ」


諏訪「…はて?」


義龍「安藤・稲葉ども曰く、『山城入道の御代では重用されなかったゆえ』と申してはいるが、知らぬはずがない… もしやそれがしを試しておるのかもしれぬ」


諏訪「お話は判りました。 ではご依頼とは…」


義龍「うむ、父が殺した『土岐次郎』とは誰なのかを調べてほしい」


諏訪「承知いたしました。 では報酬は斯くの如くで…」


義龍「うむ、任せたぞ」











……

神崎「先生、判りました? 食べてばっかいると義龍さんみたいになりますよ」

諏訪「う……少し…食べるの減らそうかな」

ケン太「じゃあボクが替わりに食べてあげるよ」

神崎「ケン太君も少し痩せた方が良いんじゃない?」





諏訪「さて…今回は斎藤道三が殺した『土岐次郎』についての依頼だ」


ケン太「ボク好きだなぁ…、『土岐次郎』」


神崎「へっ?」



ケン太「ン波のぉ~谷間にぃ~~命のぉ~花ぁ~がぁ~♪」


岩田「二つぅ~並んでぇ~咲いぃ~ていぃ~るぅ~♪」


2人「兄弟ぶぅ~~~ねわぁ~~~♪」





諏訪「うん……そりゃ鳥羽一郎だな」


神崎「あら岩田さん。 いつの間に?」


岩田「家賃7割! …いいな?」


神崎「は、はい…」








岩田「ウォッホン、さて…今回の依頼内容は…?」


神崎「義龍さんは、父の斎藤道三が殺した『土岐次郎』の、いったい何が判らないんですか?」


諏訪「うん、簡単に言えば(この時代の土岐家の、系図続柄がよく判らない)という事だ」


ケン太「どゆ事?」





諏訪「ちょっと今までに説明したおさらいをしよう」


岩田「ブログで再三説明しておるが、日本では古来から相手の実名を呼び合うのを嫌う風習がある」


神崎「古代中国から入ってきた実名敬避俗(ジツメイケイヒゾク)ですね」


諏訪「そう、諱(イミナ)が『忌み名』から来ているように、それ以外の名前で呼ぶ慣習があったんだ」


ケン太「『彦五郎』とか、『越後守』っていうアレ?」


岩田「そうじゃ」



諏訪「…で、今回の依頼の話に戻すと、美濃国の守護大名土岐家の当主は、代々『次郎』を輩行名としていた」


ケン太「それが『土岐次郎』なんだね?」



岩田「そして斎藤道三らが活躍する少し前の時代から、土岐家は先代の跡目を巡って、政頼・頼芸兄弟で争っていたんじゃが…」



【土岐家略系図】

成頼
┣━━┓
政房元頼
┣━━┓
政頼頼芸




諏訪「政頼・頼芸らが争い始めた時代から、天文年間に至るまでの史料に出てくる『次郎』が、誰を指しているかが、未だに定説がないんだよ」


ケン太「へー」



岩田「
実名敬避俗という慣習が、マイナスに働いてしまった例じゃな」


神崎「そこを今回は暴いていくのですね?」


諏訪「う~ん、暴けるかは判らないけど、ある程度の推測の元に答えを探ってはみたいと思っている」


岩田「それは次回からじゃな」


諏訪「そうだね。 今回はとりあえずここまで」


3人「は~~い」


犬千代「……ニャ…ニャー……」

ケン太「あ、先生! 犬千代にカリカリをあげてよ!」




~続~