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中学生のとき教室で
高山君という男の子に突然手をつかまれた。
なんだなんだこいつ!とびびっていたら
高山君はわたしの手をじっと見ながら
爪のきれいな人は幸せになれるよ。と言った。

あのときわたしは
高山君に手をつかまれたまま
この言葉はもう一生忘れないんだろうと思っていた。
つかまれた手が熱くてじーんとしていた。

どきどきしてふわふわして
あの気分を爪を見るたびに思い出してしまう。
いま現在キーボードを叩く指先の
剥がれかけたマニキュアを
ちょっとだけ後ろめたく思う。

にしても幸せってなんだろう。
高山君の言っていた幸せってのは。

小学生のとき
ピンクの蛍光ペンで爪を塗って
「マニキュア」と言って笑った。

あの頃と今は違うけど
でもどこか薄っぺらい感じは
まったく変わってない気がする。

ほんものとにせものの違いが
わからないとゆうより重要じゃない。
そんな感じ。


西武球場に来いよ。
そしたら結婚してやるから。

なんなんだそれは。
決闘?

生きていくって
シュールでおもしろくて愛しい。
東京の隙間で実感するのはそんなことだ。
ほんとに好きかどうかなんて
どうでもよくなってしまう。

会えないから
電話ってもどかしいから
好きなんて言葉は
わたしはすぐに忘れちゃうから
月がオレンジ色だよって言ったら
ベッドから起きあがって
ほんとだって言ってほしい。
そしたらずっとずっと忘れないのに。