立日橋 「みんなを愛したい。」と 涙が出そうなくらい思いました。 じっと空を見ていると、 だんだん空が変ってゆくのです。 だんだん青味がかってゆくのです。 ただ、溜息ばかりで、 裸になってしまいたくなりました。 それから、いまほど木の葉や草が透明に、 美しく見えたこともありません。 そっと草に、さわってみました。 美しく生きたいと思います。 太宰治「女生徒」