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雑記 ( 4 )
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肝硬変患者の標準看護計画
肝硬変とは
肝実質の破壊、炎症、線維増生による再生結節と小葉構造の改築の結果、肝臓は硬く、表面もごつごつしてくる。
その結果、肝内血管を圧迫し血行動態に異常(門脈圧亢進、肝血流減少、肝内外短絡形成)を来し、さらに肝細胞の破壊が進み、肝細胞機能総量は減少する。
肝硬変とは、諸種の原因(主にウィルスとアルコール)で起こった進行性、不可逆性の慢性肝障害の終末像で食欲不振、黄疸、腹水の消長を繰り返しながら、最終的には肝不全、肝臓癌合併、消化管出血等で死亡する予後不良の疾患である。
その他の成因として自己免疫現象、薬物・肝臓毒によるもの、基礎疾患があって発症するうっ血性・胆汁性・代謝異常症によるものがある。
病期と症状
床症状及び治療面より代償期と非代償期として分類する。
1.代償期
代償期の初期は自覚症状がないのが普通である。進行すると易疲労感、腹部膨満感、皮膚の色素沈着、手掌紅斑、クモ状血管腫、腹壁静脈怒張などが出現する。
2.非代償期
臨床上腹水の出現を認め、黄疸、浮腫、食道・胃静脈瘤、さらには肝性脳症に移行する危険をみる時期であり、入院治療を必要とする。 3.肝不全-肝性脳症
肝機能が著明に障害されて、生体に重要な物質代謝が行われなくなった状態を肝不全と呼び、一般的には肝性昏睡や肝性脳症をきたした状態をいう。肝性脳症は、重症肝疾患に合併する一連の精神・神経の異常状態である。 (肝性脳症の病期分類) 1度 睡眠-覚醒リズムの逆転、多幸、抑うつ、だらしなさ 2度 指南力障害、異常行動、傾眠傾向、羽ばたき振戦 3度 興奮状態、せん妄状態、嗜眠、羽ばたき振戦 4度 昏睡(痛み刺激には反応する) 5度 深昏睡(痛み刺激には反応しない)
4.肝不全の症状
1)黄疸
2)全身倦怠感
3)消化器症状
4)精神症状
5)神経症状
6)腹水
7)出血傾向
8)肝性脳症
9)発熱
10)乏尿・無尿
重症度の評価
・一般にアルコール性のものは、禁酒すれば予後は比較的よいが、ウィルス性のものは予後不良である。
・ child-Pughの重症度分類
検査・診断
・ 家族歴・肝炎歴・輸血歴・手術歴・飲酒歴の問診 ・ 血液生化学検査、アルブミンの低下、ICG試験の停滞率、身体状態 ・ 超音波検査、肝シンチ、腹部CT、腹腔鏡、肝生検による肉眼的形態及び組織像、選択的血管造影、胃内視鏡検査
治療
現時点では根本的な治療はなく、残された機能をいかに維持し合併症を予防していくかが重要となる。肝血流量を減少させないよう安静、特に食後の充分な安静が必要である。また、過激な運動は避け、規則正しい生活と十分な睡眠が必要となる。
1.代償期の場合
1)原因および増悪因子を除去(飲酒、感染、疲労、睡眠剤など)、肝庇護、再生促進を目的とした栄養補給を主体とした治療をする
2.非代償期の場合
1)対症療法が主となる。安静臥床とする。
2)腹水に対しては、水分と塩分の制限、利尿剤の投与、アルブミン製剤の使用
3)高アンモニア血症改善に対しては、ラクツロースや特殊アミノ酸製剤の投与、抗生剤投与
4)食道静脈瘤に対しては、硬化療法や破裂時にはS-Bチューブ挿入による出血部位圧迫の方法がとられる
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