ビタミンD欠乏は妊娠率に影響するか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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ビタミンD欠乏は妊娠率に影響するか検討している論文がHum Reprod.にありましたので紹介します。

 

ビタミンDは胚の質や子宮内膜に影響を与えているという報告があります。

この論文では凍結融解胚移植においてビタミンDがどのような影響を与えているかを調べています。

 

方法

ブリュッセル大学において1年間調べられました。

280名の患者に凍結融解胚移植を行いました。

移植日に 25-OH vitamin Dを測定しました。 

 

結果

45.3% (n = 127) がビタミンDが低く欠乏群 (<20 ng/ml)。 

54.6% (n = 153)がビタミンDは正常と診断されました( ≥20 ng/ml)。

 

hCG陽性群はビタミンD欠乏群と正常群で変わりませんでした。

(40.9 versus 48.3%, P = 0.2). 

 

臨床的妊娠率も有意差が認められませんでした。

[32.2% (41/127)] [37.9% (58/153)]; P = 0.3.

 

ビタミンDが(<20 ng/ml)の欠損群, ビタミンD が(20–30 ng/ml)の低下群、そしてビタミン Dが  (≥30 ng/ml)の充足群に分けて臨床的妊娠率を調べたところ、以下のようになり統計的有意差を認めませんでした。

 [32.3% (41/127) vs. 39.5% (36/91) vs. 35.5% (22/62), respectively, P = 0.54]. 

 

結論

ビタミンDの欠乏は凍結融解胚移植の臨床結果へ影響しないことがわかりました。

 

Vitamin D deficiency and pregnancy rates following frozen–thawed embryo transfer: a prospective cohort study

Hum Reprod (2016) 31 (8): 1749-1754.