胚移植の際のホルモン補充においてエストロゲン製剤には内服薬と経皮投与薬の2種類があります。経口投与の場合消化管、肝臓で代謝されますが、経皮投与の場合には影響を受けません。
また使用方法も定量投与、漸増投与があります。
これらの違いが妊娠率にどのように影響しているか調べている論文がHum Rprod.にありましたので紹介します。
方法
2010年から2015年まで8362個の胚移植を対象としています。
8254名の患者に以下のprotocolで投与しました。
漸増protocol:5593名 (66.9%)
経口投与:1日目から7日目まで 2 mg/日、8日目から12日目まで 4 mg/日、 13日目から胚移植まで6 mg/日 。
経皮投与: 1日目から6日目まで75 µg/3日、7日目から胚移植まで150 µg/3日 。
定量protocol:2769 (33.1%)
経口投与:1日目から胚移植まで6 mg/日
経皮投与: 1日目から胚移植まで 150 µg/3日
結果
エストロゲン定量投与、漸増投与の投与方法により出産率は有意差が認められませんでした。
経口投与(33.0 versus 32.5%, P = 0.81)
経皮投与 (35.3 versus 33.5%, P = 0.33)
生化学的妊娠率はエストロゲン経口投与した場合、定量投与群の方が漸増投与群よりも有意に高い結果でした。(53.7 versus 47.5%, P < 0.001)
結論
提供卵子を用いた新鮮胚移植において、エストロゲン定量投与群とエストロゲン漸増投与群において、経口投与と経皮投与のいずれの群においても出産率に差が認められませんでした。
Hum Reprod (2016) 31 (8): 1755-1764.