友だち100人できるかな?【取材メモ】 | NO INTERVIEW, NO LIFE.

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Interviewr Yohei hayakawa's Blog
(インタビュアー早川洋平の取材ノート)

☆前回の取材メモ
はこちらから

 6/7の「人生を変える一冊」 公開収録最後に設けたゲストへのQ&Aコーナーで、
20歳の若い男性からこんな質問があった。 
 
 「僕のクレドは、『一つ一つの出会いを大切にする』ということです。
その理由は、一人一人が持つさまざまな物語が聞き、それを世に発信したいから。
でもある時、『出会いの場ってそんなに大事なの?』っていう疑問を
投げかけられたことがありました」
 
 彼はこの出来事がきっかけで、自分軸を根底から揺らされ、
「出会い」と今後どう付き合っていけばいいのかわからなくなっているように、
僕には感じた。

 彼の心の叫びに、村尾隆介さんが答えた。
 「名刺交換をたくさんして、それが『コネクション』だという人もいれば、
携帯メモリーに500件の登録があることを誇らしげに語る人もいます。
こうした出会いの場・数を追い求めている人って少なからずいますよね。
けれど、それが『本当に身になっているか』、
そう感じはじめた人も多いのではないでしょうか」

 村尾さんの問いかけに、幾人かの参加者は自分を重ね合わせているようだった。

 「僕がそんな人によくすすめるのは『大切な30人のリスト』をつくること。
もちろん僕だってたくさん名刺交換しますし、それぞれが大切な出会い。
そのひとりひとりに感謝のハガキを出すことも習慣にしています。けれど……」

 けれど?

 「やっぱり年間に出会った数千人の人と実際にお会いするのは難しい。
だからこそ、大切な30人のリストをつくることに意味があると思うんです。
リストに挙げた人は、文字通り、とにかく徹底的に大切にしていく。
たとえば誕生日を必ずお祝いしてあげる、
そんなことから初めてみるのもいいと思います」

 彼の話を聞いて、僕は起業したての頃を思い出した。
自分には知識も人脈も経験も実力もお金もない。
だからその不安から抜け出したくて、
ひたすら交流会に足を運んで名刺交換したことがある。
でも、その時出会った人で今も深くお付き合いしている方はほとんどいない。

 振り返るとあのときの僕は、「出会う」ことそのものが目的になって
しまっていた気がする。とにかく、「何かに」必死だった。
そして、こうした日々に「何か」が違う、とも感じていた。

 でも、ある経営者に出会って僕は変わることができた。
彼は僕にこんな教えを授けてくれた。

 「小学校の時に歌った『1年生になったら』っていう歌覚えてる?」

 「友だち100人できるかな?のあの歌ですか?」

 「そう。確かに100人の友だちがいて、みんなと仲良くできるのは理想だよね。
でも、実際はどうだろう。
『世界中の人、一人一人と握手していたらそれだけで人生終わっちゃうよね。
人が本当に深く、長く付き合っていける数って実はとても少ないものだよ」

 あえて、極端なたとえ話をしてくれた彼のおかげで、
僕は肩の力がスーッと抜けていくのを感じた。
以来、僕は「リスト」ではないが、
自分が大切にしたい人をマインドマップに書き、
誕生日や大切にしていること、好きなもの、
嫌いなものなどを気づいたら書き込むようにしている。
 
 あれからもうすぐ2年。「交流会」には全くといっていいほど、
足を運んでいない。最後に名刺を印刷したのがいつかも覚えていないほどだ。
 でも、幸いなことに、大切な人をできる限り大切にすることで
僕は本当に大きな財産を得ている。
それは彼らと過ごす時間だったり、彼らが運んできてくれる「出会い」だったり。

 器用な人なら100人、200人の人を徹底的に大切にすることも
できるかもしれない。しかし残念ながら(?)僕にその能力はないようだ。

 フェイスブックには、誕生日通知機能がある。
これを使えば1000人に「おめでとう」も言えるかもしれない。
でも僕は顔が見えなかったり、実はあまりよく知らない人に
「おめでとう」を言うよりも、たとえ5人でもいい。本当に大切にしたい人に心から
「おめでとう」と言いたい。すかすかの1000人よりも濃い5人がいい。


 どんなにインターネットやソーシャルメディアが発展しても、
人間関係は機械的に、効率的に紡げるものじゃないと思う
(もちろん「気持ち」を込められればデジタルでも
アナログでもいいと思うけれど……)



 あなたが大切にしたい人はだれですか? 





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聞聴道(もんちょうどう)~著者インタビューとポッドキャスト配信の職人 キクタス早川洋平のブログ~