【学士編入】からだの生化学 | 壮年医学部邁進記 〜医学部学士編入後記〜

壮年医学部邁進記 〜医学部学士編入後記〜

医学部学士編入試験を経て、とある国立大学で医学生になりました。

学士編入試験の生化学で一番お世話になった成書。
それは『からだの生化学』…①です。

からだの生化学/タカラバイオ

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これはかつてKALSのI出大明神が確認テストの解説で大絶賛していたため知り得た書物です。

この本は大阪大学医学部の分子生理化学教室(当時)の田川邦夫先生が書いてらっしゃいます。
「本書はヒトのからだの中で起こる主要な代謝経路を解説したものである」[p.vii]
とあるように、一部の細菌で特異的に起きる反応などについては触れず、あくまでヒトで起きている生化学的反応とその生理的意義を噛み砕いて説明してます。

また①の目次は出版社であるタカラバイオの当該ページを見ることができ、概要をつかむことができると思います。
そこで、以下のようなことが書いてあります。

「本書は、生化学の抽象的理論をできるだけ現実化して、ヒトのからだで起こる生理現象を具体的に分子のレベルで説明することを試みたユニークな書である」

医学部を受験しようとしている人でヒトの生理学に興味がない人はいないでしょう。①は広くオススメできると思います。

<使い方>
学士編入試験対策としては、たいていの人は「糖代謝」を最優先すると思います。
○エネルギー代謝(ATPとは)
○ATP消費系(ポンプ、骨格筋、熱産生など)
○糖代謝関連(解糖系、TCAサイクル、電子伝達系、ミトコンドリア、グリコーゲン合成・分解、糖新生)
僕はこれらの内容を重点的におさえるようにしました。
以上は本書の第1~4章に記載されてます。

<体系的理解>
この本に記載されている内容をできるだけ科目横断的に理解するようにしました。
生理学の内分泌や自律神経系による血糖値調節機構、また運動生理学と併せて勉強することで体系的に理解できました。

化学としての出題で、生化学を有機化学として出題する場合が多いです。解糖系のうちF1,6-BPがグリセルアルデヒド3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸に開裂する反応は「アルドール開裂」とも呼ばれ、アルドール縮合の逆反応です。アルドール開裂は数年間前に浜松医科大で出題されていました。そしてアルドール縮合の反応式を書かせる問題が今年の島根大で出題されていました。
この内容は①では扱っていませんが、医歯薬系寄りの有機化学(大学教養)だと扱ってると思います。僕はマクマリーを使ってました。

科目横断的に勉強しましたが、この①で生理的意味を理解できたのが非常に役立ちました。
最近本屋さんで医学部高学年で学ぶであろう臨床医学の専門書をパラパラ眺めています。臨床医学では膨大な病態について学ばねばならず、基礎医学で学ぶようなことは「既知という前提の元」すっとばすのかな、と思います。だから基礎医学の内容をしっかり足固めしておかないと、高学年で単純暗記(苦痛!)を強いられることになるのでしょう。

<僕のお気に入りの点>
この本は、まず始めにそのセクションで言いたい要点を簡潔に述べて、その後詳細な説明が記載されています。

例えば、
「筋肉のホスホリラーゼは筋収縮とともに活性化される。最大の仕事をするにはウォーミングアップが必要である」
といった感じです。

もちろん自分で要点を読みとればいいのですが、こういうuser-friendlyな記載がある方が効率的で時間の節約になります。


<オススメ>
『からだの生化学』…①と同じ著者による、『代謝の栄養学』 …②という簡易版のような本があります。

からだの働きからみる代謝の栄養学/タカラバイオ

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数時間あれば通読でき、①への接続に役立つと思います。 ②は①の後に書かれた、①のコメディカル向けであり、ダイジェスト版の本です。著者いわく、①はコメディカルには難しすぎる、ということで、栄養学に焦点を当てて書いたそうです。代謝や栄養学の要点を簡潔に記載しています。

むしろ学士編入であればこの本でも十分な気がします。

とりあえず図書館とかで手に取ってみるといいでしょう!

僕は①を近々ざっと復習し、先日買った演習書を攻略することにします。

①『からだの生化学』
②『代謝の栄養学』