名前を呼んで【フリースタイル・ドボン】 | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

『映画』のオマケでございます。魔人様よりお強請りされてしまい、書いてしまいました。

素敵なお話を書かれる、他の書き手さんはともかく、いつも悪戦苦闘している私に「プリーズ」するなんて、

魔人様、チャレンジャー過ぎます(;^_^A


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「映画、楽しかったですね。最初、字幕にはビックリしましたけど話も面白かったし、役者さんたちの迫真に迫る演技も勉強になりました。」キョーコがケーキをつつきながら感想を言うと、


「うん、そうだね。」蓮は、そんなキョーコが愛しくて堪らないと言った表情で見つめ、コーヒーを啜った。


「この間、新しくできた友達とDVD鑑賞会をしたんですけど、その時に見たのも面白かったですよ。」とニコニコ笑いながらキョーコが話した。


「友達って、琴南さんたちじゃないの?」と蓮はさり気なさを装いながら聞くと、


「今撮影しているドラマででご一緒している同い年の女優さんたちなんですけど。『○○○』を観たんです。色々おしゃべりしながら観たんですけど、とても楽しかったです。敦賀さんが、日本に居ない時だったんですけど。」


その時のことなら、蓮もよく覚えていた。アルマンディのショーのために日本を離れていて、メールだけでは我慢しきれなくなり、声が聞きたくてTELしたものの、キョーコにあっさり電話を切られ、凹んだことを覚えている。


「き・・・最上さんが見たそのDVD俺も見たいな?」とお強請りすると、


(はうっっっっ。だから、そんなバックに捨てられた子犬を背負ったような表情で言わないで~。あなたのその顔に弱いのよ、私。)と軽くキョーコが葛藤していると、


トドメとばかりに「ダメ?」と首を傾げて聞いてくる。


「いいですよ。いつにしますか?」キョーコとしては今日映画を観たのだから、DVD鑑賞は今度になるだろうと思ってのことだったが、


「これから。通り道にちょうどレンタルショップがあるから借りていこう。今4時だから、き・・最上さんが帰るまで、もう少し時間があるだろう?」すでに、決定事項のような口ぶりにキョーコは開いた口がふさがらなかった。


宣言(!?)通り、レンタルショップで運良く目的のDVD を借りれた蓮は上機嫌で車を走らせた。


蓮とキョーコは隣同士に座って、蓮が淹れたコーヒーを飲みながらDVDを見ていた。



話も中盤になり、主役の男性(貴島が演じていた。)が相手役の女性に告白するシーンで、蓮は思い切ってキョーコに声をかけた。


「・・・・・いい?」しかし、自分で思うより緊張していたのか、蓮の声は掠れてしまった。


「え?」ときょとんとした表情でキョーコが聞き返した。


「・・・・キョーコちゃんって、呼んでいい?」真っ赤な顔をした蓮が再度問うと、


「いやです。」速攻でキョーコが拒絶した。


そのキョーコの返答ぶりに、マグマまでズズ~ンと落ち込んだ蓮に気づいたキョーコが慌てて訂正した。

「・・・敦賀さんには、”キョーコ”って呼ばれたいです。だって、敦賀さんは特・・・・」


蓮に強く抱きしめられてしまい、キョーコは最後まで言わせて貰えなかった。


「うん。キョーコ、キョーコ、キョーコ。」彼女の名前を呼ぶだけで、こんなにも甘美な思いが心の中に広がることを、蓮は知らなかった。


「キョーコ、俺のことは久遠って呼んで。」


「く・・・久遠?」はにかみながらキョーコが蓮の名前を呼んだ。


「本当は、色々君に聞いてほしいことがあるんだ。でも、もう少し待っててくれないか?勝手な・・・」


キョーコは自分の掌で蓮の口を塞ぐと、「大丈夫ですよ?話したくないこと、話せないことは無理に話さなくて。私は、いつまでも久遠の側に居ますから。」とにっこり微笑むと、どちらからともなく顔を近づけてキスをした。


《終わり》

魔人様~。こんなん出来ましたが、いかがでしょう?