顔も見知らぬうちに死別した母の面影を追い求めて、

父帝の寵姫・藤壷に恋心を抱き、禁断の恋に悩む源氏。

やがて紫の上と出会い、理想の女性へと育てるうちに

恋愛感情へと発展。この間、源氏と正妻・葵の上との

愛憎と葵の上の死、そして朧月夜との逢瀬が発覚。

彼女は政敵・弘徽殿女御の妹であり、兄朱雀帝の寵姫

でもあるが、危険を顧みず、恋愛のスリルを楽しんでいた

源氏であった・・・。

作者・紫式部は、石山寺(大津市)に通夜し、

源氏物語の構想を浮かべました。八月十五夜、

琵琶湖の水面に映る中秋の名月を眺めて、

光源氏のモデルの一人在原行平の須磨での

日々と重ねあわせながら、「須磨」「明石」の両巻

から書き始められたとも言われています。

京からの追放を予知した源氏は、最愛の妻・紫の上を京に

残し、自ら須磨へ退去すること(現光寺付近)になる。源氏

時に26歳、3月末のことであった。須磨は、秋風が吹き、

荒波が寝床までも打ち寄せる気配。海を知らない源氏に

とっては、憂愁の日々であった。翌3月、昨年手植した若木

の桜(須磨寺境内)がちらほら咲くのを見て、都の桜を思い

出す源氏であった。やがて源氏の存在を知った明石入道が

出迎えに来て、舞台は明石へと移る。そこには、明石の君

との出会いが待っていた。明石の君は高貴な源氏との恋に

とまどいながらもやがて、心を許していく。

須磨は秋風が吹き、荒波が寝床までも打ち寄せ、

海を知らない光源氏にとっては、憂愁の日々で

あったことでしょう。そんな光源氏を癒してくれた

のが、須磨の月でした。物語のなかでは、「今宵

は十五夜なりけりと思し出でて、殿上の御遊恋ひ

しく・・」とあり、月を眺めながら都を回想しています。

光源氏にとって大きな転機となったのが須磨と明石です。

須磨のわび住まいでは、月を眺め、歌を詠み、音を奏でる

といった源氏の人生で唯一、女性と縁のない日々を送ります。

その後の都での栄達に向けての英気を養っていたとも言える

でしょう。明石の君との出会い、懐妊、そして都へ戻った源氏

は栄達への階段を登りつめていきます。

物語の中で、主人公である光源氏にとって、大きな転機となった

のが、「須磨」「明石」の巻です。都から遠く離れた地で、光源氏

はどのような思いで暮らしたのでしょうか。ゆかりの地、「須磨」

「明石」にお越しいただき、千年の貴公子、光源氏に思いを馳せ

ながら華麗な歴史絵巻を体感してください。(コピーライト須磨観光教会)



ゆかぬなら ゆかせてみよう みどりがめ   作 ねね


ゆかぬなら きってしまえ あかみみがめ   作 せん


ゆかぬなら ゆくまでまとう  こうらぼし    作 おつ