米軍普天間飛行場所属のCH53ヘリが沖国大に墜落して13日で満9年を迎えた。在沖海兵隊の航空部隊の本拠地である同飛行場の機能について、県は「県外」への移設を求めるが、日米両政府は「県内」に固執し、長く平行線をたどる。一方、海兵隊の活動実態をみると、元来沖縄に居続けておらず、アジア太平洋の同盟国を巡回訓練する姿が浮かび上がる。沖縄にいることが「抑止力」とする主張は揺らぎ、幅広い選択肢がある実相がみえてくる。


 海兵隊が対外的に公表している情報だけをまとめても1月以降、アジアの同盟国と少なくとも7回合同訓練を繰り返している。
 二国間の軍事演習は、2月にタイで「コブラ・ゴールド」、3~4月で韓国と「フォール・イーグル」、4月はフィリピンで「バリカダン」、7~8月に豪州で「タリスマン・セイバー」をそれぞれ実施。6月にはマレーシアで9カ国が参加した多国間演習「カラット2013」を行った。


 オスプレイも昨年10月の配備以降、韓国、グアム、フィリピン、タイ、豪州へ派遣。海兵隊は「従来のCH46より行動範囲を広げ、太平洋全域に行く」と言う。航続距離が延びたオスプレイの登場によって、どこからでも訓練地に到着でき、沖縄を本拠地とする必然性が一つ弱まった。
 海兵隊の実戦部隊はアジア太平洋地域を巡回し、多国間の協力関係を築くことで「抑止力」を維持しているのが実態だ。「地理的優位性」のある沖縄にとどめ置かれているというのは実情からかけ離れている。


 そもそも海兵隊の部隊が海外展開する際、強襲揚陸艦ボノム・リシャールに乗って移動するのが基本。揚陸艦は佐世保基地(長崎県)が母港で、移動の迅速さだけを考えれば九州など西日本に本拠地を置く方が効率的とも思える。
 県幹部は、普天間の機能を県内に押し込める両政府の姿勢について「今沖縄に存在していることが理由になっている。にもかかわらず『抑止力』や『中国の脅威』など抽象的な言葉で語っている」と批判した。(沖縄タイムス)