この夏7月に都市近郊の海でバンドウイルカを飼育する全国的にも珍しい社会実験「須磨ドルフィンコーストプロジェクト」が、須磨海岸で始まった。須磨海浜水族園(神戸市須磨区)のイルカ2頭が13日午前、海水浴場内のいけすに移された。環境に慣れれば仕切りで囲った飼育場所内に放し、悠々と泳ぐイルカの姿を無料で楽しむことができる。7月31日まで。


 同園が初めて企画。「イルカが泳ぐきれいな海」をアピールし、薬物乱用問題などで低下した須磨海岸のイメージアップと周辺地域の活性化を図る。飼育環境の変化によるイルカの行動への影響を調べる狙いもある。
 実験場所は、須磨ヨットハーバーと離岸堤に挟まれ、網で仕切られた約9600平方メートル。同園のショープールの42倍の広さに相当するという。イルカは当初、ここの中央付近に設置したいけす(10メートル四方)で飼育するが、環境に適応でき次第、網の中の海に放す。

 飼育される2頭はいずれも推定7歳の雌のジーナとリア。トレーニングプールからトラックで岸壁に運ばれ、ボートでいけすに移された。ともに与えられたえさの魚を食べたり、ボールで遊んだりと、引っ越しの疲れも見せず、“新居”の居心地を確かめているようだった。
 砂浜には約80メートルのフェンスを立て、内側に管理小屋と観覧スタンドを置く。期間中、原則午前10時~午後4時はフェンスを開放し、スタンドから無料でイルカを観察できる。夜間は安全確保のため、いけすに戻す。


 近くの展望テラスからもイルカを観察できる(無料)。7月1日から毎日、イルカの生態などを説明する学習会を開く(予約不要、無料)ほか、インターネットでも洋上の様子をライブ中継する。


 海水浴場の一角でバンドウイルカを飼育する須磨海浜水族園(神戸市須磨区)の社会実験「須磨ドルフィンコーストプロジェクト」のお披露目式が先月の30日、須磨海岸で開かれた。2頭のイルカが海中から高くジャンプする姿に、詰めかけた市民ら約千人が歓声を上げた。


 2頭は6月13日、海の中を網で仕切った約9600平方メートルの飼育場所内のいけす(10メートル四方)に移され、浅瀬へ近寄る訓練などを重ねてきた。この日は同園のトレーナーの指示で2頭が勢いよくジャンプを繰り返した。


 小学生の子ども2人と訪れた会社員の浅野間俊朗(あさのまとしあき)さん(48)=同市須磨区=は「身近な自然の中で泳ぐイルカを見て、神戸の海は素晴らしいと実感した」と笑顔だった。飼育場所は7月31日まで無料公開(午前10時~午後4時)。(神戸新聞)