発生の1か月前からFM波異常を観測~学会発表へ

 今年4月13日に発生した淡路島地震(マグニチュード6・3、最大震度6弱)で、地震発生の約1カ月前から、淡路島付近で、地中の地震活動の活発化で起こるとされる電磁波による電波異常が観測されていたことが2日、分かった。一般的に地震と電波異常は関係あるといわれているが、大規模な地震で関連性を示すデータが明確に観測され、分析されたケースは極めて珍しいという。関係者は「観測点を増やし、データを蓄積していけば、南海トラフ巨大地震などの予測につながる」としている。7日から横浜市で始まる日本地震学会で発表される。

 地震活動が地中で活発化し破壊が進むと電気と磁気エネルギーが発生。それらが電磁波として空中に出ると地上の電磁界に影響を与える。その結果、FM波や短波などが影響を受け、普段は届かない遠距離まで届くとされている。逆に、近距離では届きにくくなる傾向があるといい、こうした変化は、地震発生の直前(静穏期)に正常に戻る傾向がある。

 今回、データを採集し、分析したのは地上のFM波や短波などを観測し、地震予測の可能性を探っている「JYAN研究会」(大分県国東市)。会のメンバーはアマチュア無線技士らで、北海道大など他の地震研究機関と連携して分析を行っている。

 同会代表の国広秀光・元国東市消防長によると、同会が展開している20の観測局のうち、大阪府貝塚市の観測局で、地震発生の約1カ月前の3月15日から発生6日前の4月7日まで、姫路のFM電波がおおむね10デシベルからそれ以上強くなり、その状態が続いた。地震までの6日間は、通常のレベルに戻った。

 同会の過去のデータでは、10デシベル程度上昇し、収まってから1週間ほど後に地震が発生する場合、マグニチュード6クラスで震度5~6の地震が発生。20デシベル程度上昇した場合、最大で震度7。東日本大震災の際にも後に確認されたという。淡路島地震はマグニチュード6・3、島内の最大震度6弱だった。多くの観測点でクロスチェックができれば、震源を想定することも可能だが、淡路島地震の場合、貝塚の1局のみのデータだったため「震源は貝塚と姫路を結ぶエリアのいずれかの場所」との判断にとどまったという。

 国広代表は「観測局が増えるほど正確な地震予測が可能になる。無線に関心があれば誰でも参加できるので、南海トラフの震源域周辺で観測局を増やしていきたい」としている。(産経新聞)