日本維新の会の橋下徹共同代表には大阪市長選で再選し

てもなお、いばらの道が続く。得票数は平成23年の前回

選挙(75万813票)の半分に落ち込み、民意を背に大阪都

構想を推し進めるのは難しくなった。橋下氏は引き続き都構想

に専念せざるを得ず、国政から距離を置くことになりそうで、

維新が「低空飛行」から抜け出す展望は見えてこない。

 日本維新幹事長の松井一郎大阪府知事は23日夜、大阪

市内での記者会見で「『無駄無駄選挙』といわれながら4人に

1人が投票にいった」と再選の意義を強調した。ただ、橋下氏が

姿を見せなかったのは、いらだちのあらわれといえる。

 大阪維新の会は府議会、市議会で過半数に満たない。特別

区設置協議会(法定協)で設計図を完成できても、両議会での

承認は難しい。橋下氏の「独り相撲」を演出する狙いが的中した

形の他党は、対決姿勢を強める公算が大きい。

 早速、大阪市議会の公明、自民、民主系、共産の各会派は

23日夜、市役所で記者会見し、橋下氏の任期満了に伴う来年

秋の市長選に、4会派の統一候補擁立を模索する考えを示した。

 今秋の住民投票実施が危ぶまれる中、橋下氏は来春の統一

地方選で議席を増やし活路を見いだしたいところ。だが

「大阪維新の現有議席は全盛時のもので、あとは減るだけ」

(自民党府連幹部)との見方は強い。

 今後、橋下氏が都構想実現に専念すれば、党内では、石原

慎太郎共同代表ら旧太陽の党系の影響力が相対的に強まる

とみられる。旧太陽系からは

「野党再編をしたいなら大阪系は出ていけ」との声が漏れ、

ある大阪系は「統一選に向け再編は必要だ」と反発する。

再編をめぐり党運営が一層不安定になる可能性は大きい。

(産経新聞/沢田大典)