・・・だが・・・よくよく考えれば タキグチさんはユウがあのもと大臣の「息子」だと知っていたんだよな?
囮としてユウが玉城と接触するのを待ってたんじゃないだろうか・・・
玉城があの『組織』に加担していたことくらい タキグチさんならとうのむかしに知っていただろう
絶対的信頼はない、とリュウは思ってしまう。
自分が守り 大事にしてきたユウがこういう事態にならないように なにかしらタキグチなら対処できたはずだ。
そうしなかったのは 玉城が所有するであろう悪の根っこ子をひとつ抜き取り葬り去るためだったとしたら?
・・・裏切り者ではないけど・・・ユウを「餌」にしたのだったら 救出したあとで一発お見舞いしてやる・・・
いままで どんなに無茶な「依頼」をしてきても タキグチのいうことを聞いてきたリュウだったが 今回ばかりはユウが絡んで自制心が効かなくなりそうだ。
そんなリュウの心を見透かしたかのように タキグチは彼を一瞥すると やっと口を開いた。