それからすぐ またドアが開いて 蒼夜はアキラがもう戻ってきたのかとそちらを見た。
「・・・・よぉ、役立たず。本当にお前はいざという時に使えねぇなぁ・・・」
蒼夜の視界には 絶世の美人が不貞腐れ気味な顔をして歩いてくる姿が映った。
すらりと無駄のないそれでいて鍛え抜かれた筋肉に細い腰。
前よりも長く伸びた髪は 海外で身を隠して暮らすために薄い栗色とも金色ともつかぬ色合いになっていて もともと色素の薄い瞳は相変わらず他人の視線を魅了する。
綾人が『組織』を裏切り マオとともに抹殺された・・・そう聞いたとき 奈落の底へと落とされた。
唯一の同期の生き残りであり 自分はほのかに彼に好意を持っていた。
だが この男が死ぬはずがないとも信じていた。
そして やはり生きていたとわかったが 『施設』を彼らが爆破したあと 連絡も取れずじまいだった。
「相変わらず口が悪いな。今回は「たまたま」だってわかってるくせに。俺が頼れる男だってのは いちばん長くそばにいたお前が知ってるだろう?」
「・・・・ふふ・・・、あまりにもむかしのことで忘れちまったよ」
妖艶な笑みを携えて 綾人は蒼夜のベッドに腰を掛けた。