蒼夜は
「アキラに「潜入」を取られて嫌味でもいいに来たのか?」
と笑ってみせた。
人一倍気位が高い綾人は それに見合うだけの努力をし なんだってこなしてきた。
だからこそ『組織』に集められたこどもの中で生き残れていたのだ。
「・・・・・まだ俺だって「大学生」くらい化けれるさ。あれは・・・「囮」。タキグチがおそらくユウの居場所くらいは掴んでいる。だが こっちはまだそこまでたどり着いていないと思わせるように仕組んでるんじゃね?」
「・・・・・なるほど・・・。それならアキラでもコトが足りるわけだ。心配して損した。お前・・・なんだかんだ言いながら タキグチ上官のことをよくわかってるもんな」
「・・・・はぁ? だれがあんな奴っ」
本当に変わらない。
蒼夜は綾人の態度に思わずくすっ、と笑った。
綾人は むかしから タキグチ上官に対して反抗的で それでいて あまり語らない彼の言葉の裏を読むのに長けていた。
彼らが「兄弟」だと知ったのはいつのことだろう。
まったくそんな素振りを見せないふたりの関係は 蒼夜にはよく理解できなかった。
そんなことを考えている蒼夜の前に 急に綾人が顔を近づけてきた。