鼻先がくっつくくらいの距離。
淡いヘーゼル色の瞳が じっと自分を見つめている。
「・・・・・なんだ?」
「お前・・・、アキラをどうするんだ?」
「どうするって・・・」
「せっかく『組織』から逃がしたのにさ。あのときは まだ初仕事もできないくらいのこどもだったから 「ふつう」に生きれる道も残ってたのに なんでこんなことに巻き込んでるんだ」
言葉尻は柔らかいが 綾人が怒っていることに蒼夜は気づいた。
たしかに 綾人やタキグチ上官たちが望んだのは『組織』から解放され 逃がしたものたちが「ふつう」に生きること。
そのために 彼らはいまも命をかけて戦っている。
なんのために・・・と 綾人は言いたいのだろう。
純粋無垢のまま 『組織』から抜けれたのは幸運だっただろう。
人を誘惑し その体を使って魅了し 時には「死」を与えるために育てられるこどもたち。
そのための訓練もアキラは「まだ」だった。
「お前だって マオにそうしてたじゃないか。守ってそばに置いていた。それとどう違う?」
「・・・・・根本的に違うね」