アキラが自分に好意を寄せていることも心地よかった。
それが・・その気持ちが「情」であること、そして いつしかそれ以上のものになっていることも自分自身で気がついていた。
「・・・だが・・・「高校生」はさすがに俺も無理だし・・・、この先 アキラが必要になるかもな。年をとったとは思いたくねぇけど」
「・・・・綾人・・・」
「守るならちゃんと守れ。俺は・・・好きな奴はこの戦いには巻き込みたくない。だから俺が帰れるように足を引っ張んなってこと」
「・・・・あぁ・・・、この身に変えてもアキラは守るよ」
「ばぁか・・・。お前も生きてなきゃダメじゃん。それに俺たちはだれも欠けることねぇよ・・・。なんったって タキグチの作戦だからな」
ふっ、と柔らかな表情をする綾人に 蒼夜は驚いた。
こんなに穏やかな笑顔ができるやつだっただろうか。
それだけ 綾人の心を癒せる場所ができたということだろうか。
・・・それが自分だったら、とあの頃だったら悔しかっただろうに・・・いまは 「よかったな」と素直に喜べるのは 俺にもアキラがいるからだろうな・・・
蒼夜は 心の中で ずっと抱いていた初恋に終わりを告げたのだった。
Illustrated by 三倉リョウさま