結婚した友人たちにはもう僕と大ちゃんのツーショットの年賀状は送れない。
口の堅い彼らは きっと奥さんにも話していないし 話してほしくない。
もし ふたりの関係が漏れてしまったら 大ちゃんが築き上げた世界も 僕との生活も壊れてしまう。
大ちゃんは 僕の言いたいことが分かったのか「ふー--っ、、、、」と長い溜息をつくと
「もう一枚だけ年賀状作ってくれないか?」
と言ってきた。
「・・・・・え?」
「お前の気持ちくらいわかるって。我慢をいっぱいさせてごめんな」
「我慢なんて・・・・」
「でもさ、ふたりのツーショットの年賀状はこれまで恒例行事だったろ?」
「・・・うん、でも・・・」
「だから 一枚だけ作ってくれ。俺、ちゃんと毎年 二人のツーショットの年賀状、残してあるの知ってるだろ? 2023年の分からなくなったらおかしいじゃん」
「・・・・・・えっと・・・」
「俺たちは来年も一緒だし その先も一緒。思い出として残したいのは俺のわがままか?」