桜雪の光 40 | 花の兎 雪の兎~オリジナルと2次元 2.5次元BL~

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真行寺は 口を開いて 声が出ないことに戸惑いを隠せないようだった。

 

 

・・・現実、なんだよな・・・

 

 

こみ上げる想い。

 

いますぐこいつに抱き着きたい気持ちと どれだけ心配させたんだと殴りたいくらい愛しい気持ちが交錯する。

 

 

「落ち着け、落ち着け・・・」

 

 

自分自身に言っているのか 真行寺に言っているのか・・・おそらく前者かもしれない。

 

俺は 冷静を装って 状況を説明した。

 

 

「真行寺、お前は事故にあって いま 喉を切開して呼吸器を取り付けてある。だから声が出ない。分かるか?」

 

 

真行寺はわかったのか 瞼をゆっくりと一回閉じた。

 

おそらく それが「YES」という意味だと 俺にはわかった。

 

熱い気持ちが俺にあるなんて 本当にいままで考えたことなかった。

 

幼少期からどこか冷めて他人と接していて だれかに何かを期待するよりは 自分で動いた方がいい、と 俺は思っていた。

 

だから 人の上に立つことは俺には当然で 期待しているふりをして他人を動かしてきたのも事実だ。

 

冷たい人間だった。

 

それが俺だった。