桜雪の光 41 | 花の兎 雪の兎~オリジナルと2次元 2.5次元BL~

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日々のあれこれ、気ままに創作、なんでもありのブログかな?

この感情に名前を付けるとしたら何なのだろう。

 

 

・・・これが「愛」なんだろうな、真行寺

 

 

「いま、担当の医師を呼ぶから・・・」

 

 

俺は このままでは泣きそうで 真行寺の指を離して立ち上がろうとした。

 

だが 真行寺は 目覚めたばかりだというのに 俺の指先を掴んできた。

 

 

・・・真行寺・・・

 

 

指先が熱い。

 

それ以上に胸が熱かった。

 

真行寺は 俺に何かを伝えたいのか口を動かしている。

 

 

「なんだ? 真行寺」

 

 

聞き返すと 真行寺の瞳が むかしのように少し拗ねたようになって 俺は心の中で くすっ、と笑ってしまった。

 

 

・・・どうせ意地悪だとか思っているんだろう?

 

 

俺は 椅子に座りなおして 奴の指先をもう一度ぎゅっと掴んだ。

 

 

「・・・容態は安定しているから・・・少し話そうか」

 

 

お前が言いたいことくらいお見通しだ。

 

ふたりの時間を過ごしたいんです、と言いたそうな表情で 俺の言葉にまた瞼がゆっくりと閉じて開いた。

 

 

・・・お前が起きただけでこんなに胸がいっぱいになるなんて・・・この感情は 俺には持て余してしまうよ