落書き | 花の兎 雪の兎~オリジナルと2次元 2.5次元BL~

花の兎 雪の兎~オリジナルと2次元 2.5次元BL~

日々のあれこれ、気ままに創作、なんでもありのブログかな?

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「この日を待ち望んでいた。あんたを父親と思ったことは一度だってないよ。俺は・・・俺の人生に終止符をつけるためにだけ生き残ったんだ。あんたをこの手で殺すためにな」

 

「はは・・・、お前のことなんていちども息子と思ったことはない」

 

目の前の男は ユウを冷たい眼差しで見つめると続けた。

 

「ただの『パーツ』だ。俺のこの身体が壊れた時だけのためのパーツだな。よく育ってくれた」

 

「・・・ふざけんなっっ」

 

ユウは男に向けた銃の引き金にかかる指先を今すぐにでも引きたかった。

 

「なんだ、お前・・・。俺に父親を求めていたのか?」

 

「お前のせいで俺は物心ついた時から壊れた母親の『相手』をさせられてたんだ。狂った女の・・・」

 

「だからあの時 お前を殺すように命じたのは情けのつもりだったが・・・恩くらい感じたらどうだ?」

 

「もうやめろっっ」

 

「それがどうやってか生き残って戻ってきた。壊れかけた俺の身体のパーツになるためにな・・・」

 

「やめろっっ、もう話すなっっ」

 

自分は広大な砂上の砂の一粒くらいはなにかを期待していたのかもしれない。

 

ユウはそんな自分を恨めしく思った。

 

 

 

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「あんたを殺すのは俺だ。弟をおもちゃのように扱ったのはお前だろう?」

 

リュウは見ることができなかった弟の姿を想像した。

 

あの魔の美術館に飾られていた巨大なガラスの筒に入れられたホルマリンつけの人間たち。

 

そのどれもが「異形」だった。

 

花と蔦を全身に絡ませた植物と結合させられた人間。

 

手足だけ獣のものを移植されたキメラのような人間。

 

思い出しただけでも悍ましい。

 

だからこそ ユウは自分に弟の姿を見せないように先に破壊したのだ。

 

たった6歳だった。

 

そんなこどもになんてことをしたのだろう。

 

この男にとって 自分以外は すべてがただの「モノ」なのだ。

 

「あんたはこの世にいちゃいけない。俺がぶっころす」

 

リュウは自分用に改造したマシアサルトを男に向ける。

 

男は苦笑した。

 

「お前たち下等なものは「おもちゃで何が悪い」

 

 

 

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「・・・・・・初めまして。お父さん」

 

涼しい声でyunは言ったが その瞳と表情は冷酷そのものだった。

 

「これはこれは美しいな。お前も実験体のひとつか」

 

「・・・『ひとつ』?」

 

聞き返したyunは 銀色に輝いたベレッタをゆっくりと男の額に向けた。

 

「俺たち実験体がどうやって生きて・・・そして 俺以外は殺されたのかわかる? 俺は ひとり生き残って・・・」

 

生まれた時から「箱」に入れられていたこどもたち。

 

「箱」から出ることはかなわず さまざまな人体実験の道具にされた戸籍もなく そんなものがある知識も教えられないまま純粋培養されたこどもたち。

 

その中の自分と「零」がこの男のDNAを組み込まれた受精卵からできたこどもだった。

 

あの「箱」のなかは窮屈だったが それでも自分には仲間がいた。

 

だが・・・思い出すのは 床一面の血の海と 真っ赤に染まった白かった服を着ていたこどもたちの屍。

 

用がなくなったから処分された命の山。

 

零もいなくなったと思ったまま生きて来たのに 再び出会った「弟」は正気をなくしていた。

 

鳥の羽を背中に結合させられ あま美術館の奥で飼われていた。

 

「あなたを許しません」

 

「なにを言うんだ、実験体の分際で」

 

yunは 話せば話すほど 心が冷たくなっていくのが分かった。

 

 

 

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「あーーーー、もうっ。うざい」

 

綾人は怒鳴るとため息をついた。

 

「こんなおっさん、とっとと殺せよ。お前ら、恨み辛みを離してこの愚鈍な人間に理解してもらえると思ってんの?」

 

「なにを・・・、俺は仮にも国のトップだぞ」

 

「ま、3人の中じゃ 気にくわないやつだけどdoctor.yunに一票」

 

「なんで・・・っっ」

 

ユウは 綾人に聞き返した。

 

「俺たちやdoctor.yunは 運命をこいつら「組織」に決められてたんだ。ユウもリュウも お前たちは違う生き方を選べたんだ。ぜいたく言ってるんじゃねぇよ」

 

「・・・それは・・・」

 

「でも、ま、ここは俺が・・・」

 

にやり、と冷酷な微笑を携えて 綾人は男に銃を向けた。

 

そこで やっと男は恐怖を覚えた。

 

自分が何を言ってもこの人間は動揺もせず 笑いながら殺すだろう。

 

「あんたが育てたかった美しい暗殺者に殺されるのって美学じゃん」

 

「・・・・・・・」

 

綾人が瞳を細める。

 

こんな男を人間とも思えない。

 

数えきれない人間の人生をゲームのコマのようにしていた。

 

この男ひとりを殺したところで 自分たちの戦いは終わらない。

 

しかし・・・

 

「ユウ、リュウ・・・。この男を殺せば気が晴れて「終わる」か?」

 

「・・・・・・え?」

 

「それでこの俺たちの生きる世界から抜けて ふつうに戻れるってんならいいぜ。やれよ」

 

「・・・・・・」

 

「身内に対する愛情はよくわかんねぇよ。俺だったら・・・タキグチが殺されても冷静に引き金を引く。感情に流されねぇよ。くく・・・、悪いな、冷たい弟で・・・、アニキ」

 

笑いながら言う綾人に タキグチは珍しく表情を緩め

 

「アニキ・・・か。そうだな。俺たちはいつでも冷静でいなければならない」

 

と頷いた。

 

そのとき 銃声が響いた。

 

だれもが想像だにしていない人物が 銃を構えていて その銃口の先から煙が出ていた。

 

「・・・な?」

 

「なんで・・・?」

 

「なにやってんだよっっ」

 

男は肩を撃ち抜かれて 床に突っ伏した。

 

「・・・・・・やっぱり習っていたものの外してしまったな」

 

「大輔さん、なんで・・・」

 

マオが一番驚いた顔をして 恋人を見つめていた。

 

「俺は医学博士だ。たくさんの命を救いたいと医学に携わってきた。彼の求める医学は「邪悪」だ。・・・許せない」

 

言葉を震わせている大輔の銃を握る手にそっと自分の手を合わせて カナタは

 

「博士は手を汚さないでいてください。僕たちの唯一の光でいてください」

 

優しく言いながら こわばっている彼の指から 銃をゆっくりと取り上げた。

 

 

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なんてね

 

書きかけの話の続きを この曲を聞いてたら思い出したので・・・抜粋でwww

 

たぶん本気でこのシーンを書いたら数倍(笑)になる。

 

ぜひ、この曲を聞いて 感じてみてください。

 

歌詞をシンクロさせてくれたらうれしい。

 

「目ざめたいなら迷わずアイツへ 銃弾を打ち放て」

 

「運命をつかみ取れ」