「どうしたの?」

「とうとう、やったみたいだ」

有香ちゃんのパパは、
とうとう最後のボタンを
押してしまったようだ。

「え!なんで分かった?」

「旦那にパパさんから、
メールが来てたみたい!
茂に電話したけど出なかったみたい」
麗子さんも、
あまりに動揺していて、
支離滅裂だった。

とにかく、
パパさんが実行したと、
連絡が行ったらしい。

とうとう....。
それをやったらダメだって...。
愛してるんじゃないの...。

私は立ちすくんでしまった。

「大丈夫か?」

「あ、うんうん。ごめん。
やっぱり私たちの声は、
響かなかったか、、、」

「仕方がないよ。
そのネット?にもう、
ご執心だったんだから。」

「悔しい。
身近にいる私達が
止めてあげられないなんて。
ネット?なにそれ。
片方の話しか聞いてないのに
無責任な発言をして。
人生の分岐点よ?
パパさんの心の隙間に、
スッと入って...。」
※今はSNSについての
考え方は違います。
SNSを知らない当時の話。

「りん、仕方がないよ。
もう仕方がない。
私たちもがんばったよ」

なぜか二人で涙目になった。

麗子さんが、
「有香ちゃんのママ大丈夫かな?
あの人、自分からなかなか
心を開かないからな。
変なこと考えてないかな?」
と言った。
有香ちゃんママは、
自分から助けてくれだとか、
言えない人。思いつめちゃう人。

私は、急にハッとした。
「ちょっと電話してみる」
その手は震えていた。
電話に出て、出て、出て。
お願いだから出て。

何回かけたんだろう、
やっとでた。
「今はどこ?今行くから」

「.....横浜」
何で横浜????

「分かった。迎えに行く。
離れないで待ってて。」

「はい、はい」
声にならない声を発していた。
横浜は茂さんが詳しいから、
迎えに行くことにした。

麗子さんが、
「りん、ここは私に任せて。
お願いできるか?」
と言った。

「あ、うんうん」

二人ともパニックだった。
とりあえず、死んだりしないで。
それだけだよ。

千葉から横浜まで行く。