しばらくして、
有香ちゃんママに会った。
元々スレンダーだったのに、
更に痩せていた。

話を聞くに、
仕事を辞めさせられ、
再就職は禁止。
パパさんとしては、
また浮気するかもしれないから
というもの。
だけど本心は自由になる
お金を持たせたくないんだと思う。

夜の営みにも
応じないといけない。
半ば強制的にやられる日もあれば、
触られたくない!と
拒否される日もあるらしい。

携帯やパソコンは、
毎日チェック。
どうやら家には盗聴器が
あるんじゃないか?と、
ママさんは言っていた。

常に、
おまえが悪い、
おまえのせいだと言われ、
パパさんの精神状態に合わせて、
自分が動かないといけないと
言っていた。
たまの暴力も、
おまえが不倫して、
俺は傷ついたんだから
いいよな、と言うらしい。

その表情は、
もう疲れを通り越して、
死んだ表情だった。

「やり直したいの?」

「前から別れたいと
思っているけど、
別れてくれないし、お金もない。
有香を育てていけないから、
これしか方法がない」

別れたいのに、
別れてくれない....

もうパパさんは、
ママさんを人間としては
見ていない。
奴隷のようものだ。

「両親も、私が悪いんだから
我慢しなさいって言うの。
もうどうにもならないよ」
まさに八方ふさがりだった。

これも、
不倫をしたんだから、
当然の報いだというのか。

そこに愛なんて、
感じられない。
愛なんてないだろう。
愛がこんな歪んでしまったら、
それは愛じゃない。

ママさんも
有香ちゃんも、
どんどんおかしくなっていく。