次の日、
有香ちゃんを
病院に連れて行った。
ママさんは驚いていた。
彼女としたら、
有香ちゃんはパパの味方で、
自分のことは嫌いなんだろうと。

親はわが子の嘘を見破れると、
私の母などは、よく言っていたが
見破れない場合もあるんだな。
自分に関わる嘘だったら、
分からないものなのかもしれない。
やっぱり子どもは、
すごい力を持っている。

「今日はね、
有香ちゃんが、どーしても
話しておきたいんだって。
聞いてあげて?」

有香ちゃんには、
少しの間だけ
一緒にいて欲しいと
言われていたから、
私たちは傍にいた。
届け、気持ち。
がんばれ、有香ちゃん。

「ママごめんね...。
私はずっとママが、
ひとりぼっちなの見てた。
一人で頑張ってたのを見てた。
パパだって悪いのに、、、
ごめんね、ごめんね、ごめんね」
あとは声にならなかった。

さすがに、
ママさんも気がついたようだ。
有香ちゃんの奥底の本音に。

「ママも有香が大好き。
こんなママなのに、
本当に本当にごめんね。
ツライ思いばかりさせて、
本当にごめんね」

二人は抱き合っていた。


私たちはこっそり、
部屋から出て行った。
「いやー、泣いちゃったよ。
母娘の絆は強いなぁ」
麗子さんがもらい泣きを
していた。

「本当に。
あーでも良かったね。
パパさんは変わらないのが、
残念だよね、、、」

「もう変わらないんじゃない?
何をしても、何を言っても、
被害者意識が強いから、
聞き入れてくれないよ。
まぁ被害者なんだけどさ。
難しいよな」

しばらくすると、
有香ちゃんが満遍の笑みで
迎え入れてくれた。

「ゆっくり話し出来た?」

「うん、ありがとう」

ママさんも、
「お二人とも、
本当にありがとうございます。
感謝しきれません」と
言っていた。

「いいからいいから、
早く元気にならないとね!」

本当に久しぶりに、
みんなの笑顔が見られた。