麗子さんは、
ママさんの親御さんだけには
話した方がいいよ、と言うので
ママさんに私たちから
親御さんに連絡していいかと聞いた。
ママさんは、
もう期待していないけれど、
よろしくお願いします...と頼まれた。

ママさんの方の親御さんに
電話を入れた。
パパさんからは過労で倒れた、
大したことない、
やっと普通の暮らしを始めて
張り切ってたからだと思う、と
全然違う説明をしていた。
お母様は話を聞いて驚いていた。
一度、パパさんには内緒で、
顔を見に来てくれないかと
話したら、すぐにでも行きますと。
明日の朝早く、行きますと、
言ってくれた。

麗子さんが、
「やっぱりな。
自分の娘がこんななのに、
見舞い来ないなんて、
おかしいもんな」と
言っていた。

次の日は土曜日。
土曜日はパパさんは、
早くは来ない。
いつも夕方に来る。
有香ちゃんいわく、
ずっと寝ているらしい。

ママさんの
ご両親が来てくださった。
まさか心療内科に入院してるとは
思っていなかったと。
たぶん今からみる姿は、
少し衝撃を受けるかもしれません
と伝えた。

瘦せ細った娘の姿を見て、
ご両親は絶句していた。
お母様は泣いてしまった。
「こんなになってるなんて、
知らなかった」と言っていた。

麗子さんは、
「娘さんの話も、
よく聞いてあげてください。
不倫をしたのはよくないけれど、
でもそれに至る事情は
あったんだと思います」
と言い、私は、

「最近の異常な話も
聞いてみてください。
もちろん許せない事を
してしまったのかもしれない。
ですが命が何より先です。
どうかここは娘さんの力に
なってあげて頂けませんか?
私たち友人だけでは、
限界があります。
お願いいたします」と言った。

ご両親は、
「わかりました」
とだけ言っていた。

私たちは、
席をはずした。

続く