あまり責めてるように聞こえては、
パパさんはまたネットの声に
依存してしまう。
似てる境遇の人は
いるかもしれないが、
全く同じなわけじゃない。
そもそも人が違う。
パパさんが向き合う相手は、
ネットの友達じゃない。
ママさんとなんだから。

私はあまり、
自分語りをするのが好きじゃない。
私も大概な人間だし、
ちゃんと生きてきたわけじゃない。
失敗もしたし、
傷つけてもきたし、
知らずに傷ついてる人も
いるかもしれないから。
そんな人間だから、
人生ってのはさぁ、なんて
私は言えないし言いたくないんだが、
少しでも役に立つならば。

「私ね、今の夫の前に、
結婚を約束していた人がいたの。
この世には居ないんだけど。
元夫のことでボロボロで、
私はあのとき、自分が一番不幸で、
全てが許せないと思ってた。
絶望、そんな言葉がピッタリだった。
でもその結婚を約束した人が、
いっつも笑いながら言ってた。
そのブスくれた顔じゃあ、
幸せも逃げちゃうよ。自分から、
幸せを逃しちゃってるじゃん。
元夫への最大の復讐は、
りんが幸せに生きることだって。」

私はなぜか、
もう胸がいっぱいになり、
それ以上は続けられなかった。
圭人は茂さんと違って、
いっつもふざけながら言っていた。
りんに不幸の神が憑いてるぞ!
追いはらえ!追い払え!笑え〜!
なんて言っていた。
いっつも楽しませてくれて、
笑顔を引き出してくれていた。
そんな事を思い出してしまった。
パパさんにも無意識に、
話したかもしれない。

パパさんの目にも、
涙が見えていた。

「すぐに忘れよう、
許そうなんて出来ないけど、
少しずつでもいいから、
きっと出来るから。
やったらやり返すのは、
違う方法がきっとあるから。
ね?パパさん。
もう悪魔に心を預けちゃダメだ」


パパさんが
初めて声を出して泣いていた。

私の経験が、
こんなところで役だった。