さやかさんは、
私が知っていると
勘違いをしたまま、
話を進めて行った。

紺野くんの過去を、
ついに聞いてしまう。

偶然なのか必然なのか、
紺野くんと私は、
ほとんど同じような過去を
持っていた。
少し違う所ももちろんあるが、
最初の結婚相手は浪費家。
借金を肩代わり。
私の場合は、闇金などには、
ヨーダは手を出してなかったが、
私が稼いだお金を、
女に貢いでいたクズ。

やっと離婚出来て、
新しい恋愛をして、
結婚間近に病気が分かり、
数ヶ月後に還らぬ人に。
私の場合は、結婚間近で、
婚約者は事故に。

ここまでは似ていた。

ここからが違う。

紺ちゃんは、
そんなどん底を支えてくれた、
姉御肌の女性がいたらしい。
その女性は、
もちろん紺ちゃんを愛していたから、
傍にいたい、支えたい、と
頑張ってくれていたようだ。
私も同じく、
茂さんがどん底から救ってくれた。
愛して愛して、
これでもか、というくらい、
愛してくれた。

私はその愛に負けた。
そして私は結婚をした。

だけど、
紺ちゃんは支えてくれた
姉御肌の女性を、
愛情ではなく情だからと、
結婚を断った。
そして紺ちゃんは、
未だに独り身...。
自分から愛する事が
出来なかったら、
きっといつか後悔すると
言っていたらしい。

私がずっと悩んでいた事。
結婚を後悔しているわけじゃない。
私はこのまま、
茂さんが私を思ってくれるような
愛情を、
私は彼に注げないかもしれない。

あのとき、
私は結婚を断るべきだったのかも。
もしかしたら、それこそが、
二人が幸せになる方法
だったのかもしれない。

そんな事を考えてしまった。
紺ちゃんと話してみたくなった。