紺ちゃんと練習の日。

「紺ちゃん、
聞くつもりは無かったの。
過去のこと..」

「ひどい男でしょう?
支えてくれた人を見捨てて。
僕を支えてくれた時間を、
無駄にさせてしまって。
僕は結婚には向いてないよね。
向いてないというより、
彼女のことを考えたら、
誰かと結婚なんてしちゃいけないね」

ああ、紺ちゃんはそういう人。
結婚適齢期の支えてくれた女性に
対して、罪悪感を持っている。
女性の方は、
こんなに支えて傍にいて、
結婚してくれる、伴侶として
選んでくれると思っていたよね。

私は聞いた。

「じゃあなぜ?
分かっているのに、
なぜ結婚しなかったの?」

私は、
茂さんの事を考えたら、
結婚すべきだと思ってしまった。
あの頃を思い出してきた。

私に突き刺さる回答が
返ってきた。
「それで結婚をしたら、
二人とも幸せだと言える?
支えてくれた時間の責任を
取って、幸せだと言えるの?
僕はそうは思わない。
二人とも不幸だ。
僕は彼女を好きではない。
好きになる努力をしたけれど、
好きにはなれない。
でも彼女は僕を愛してくれている。
痛いほどよくわかる。
だけどその愛に、
僕は応えることは出来ない。
結婚をしたら罪だ。」

紺ちゃんは、
私の過去をまだ知らない。
だから、
彼の本音だ。



私は、
何にも言えなかった。